2010年9月20日月曜日

P・F・ドラッカー

 昨年の学内研究会で、P・F・ドラッカーについて発表したわけですが、その時に、ドラッカーブームを予想して「ドラッカーブーム来ますよ」なんて発言したわけです。予想外れなくて良かったんですが、売れすぎですね。

 さて、日本の経営学研究者の中にはドラッカーを大衆小説家のような目で見ている方がいらっしゃるんですね。いずれにしても彼らはドラッカーを高く評価をしていませんよね。でも、そのような研究者はドラッカーを読んでいないんですね。読むに値しないと考えているようです。ですから誤解しているんですね。

 ドラッカーは現在の世界不況とその遠因である「ネオ・リベラリズム」について危惧し、この手法で突き進むアメリカ経営学についてしっかりと批判しているんです。だから、彼はアメリカ経営学と一線を画して、自らは経営学者とは言わず、『社会生態学者』などと名乗っています。アメリカの経営学者の中でドラッカーは無名です。ほとんど知られていません。

 ドラッカーの本は日本で数百万冊読まれています。最近の『もしドラ』も100万冊を超えました。今も売れ続けています。ドラッカーが、教養レベルの高い日本の一般大衆に受け入れられている理由は、経営の世界で起こっていることを解りやすく解説しているからです。本来なら日本の研究者が経営学について国民に解りやすく説明しなければならないはずです。それを本当にわかりやすく、知的好奇心の旺盛な日本人にドラッカーが説明してくれたのです。