2010年10月11日月曜日

日本の経済停滞

 バブル経済の崩壊以来、日本の経済停滞は信じられないほど深刻です。今回の世界規模での不況に際しても、先進諸外国の経済動向から比べたら、悪いはずがないのに依然として停滞が続いています。不況のときは、どこの国でも同様ですが、自国の経済さえ良くなればと、いろいろな手を使います。こうした諸外国を相手に経済外交をすすめるのは、日本の政治家や財界の人々にとって得意なことではありません。 政府と日銀が、円高に歯止めをかけようとして2兆円以上の資金を使って為替に介入したものの、あまり効果がなく逆に欧米各国から批判されることになりました。これで当分、日本政府は為替に介入することが出来ないので、打つ手がありません。こうしたところが経済外交下手なのですよね。

 日本の停滞は産業構造に問題があります。従来、日本の製造業は、国内消費量の2~3倍もの工業製品を日本国内で生産し、海外へ輸出してきました。日本のような輸出国にとって為替のレートは大きな問題で、為替レートによって日本の経済に深刻な影響を与えてきました。1971年のブレトンウッズ体制からスミソニアン体制への移行、さらに変動相場制への動きはアメリカ・イギリスの国際収支赤字が原因で、行われた改革だったわけで、それ以降日本は円高基調が続いています。1ドル=360円だったものが、今は80円です。40年間で日本の通貨価値は4.5倍になってしまいました。かつて100万円の車は、現在450万円ということですから売れるわけありません。そうなれば海外生産ということになりますから、製造業は外国へ生産ラインを移してしまいました。そのため日本の製造業は空洞化し、製造業や関係企業の失業率は上昇し、円が高く評価されているにもかかわらず日本の経済は停滞を続けています。円高が輸出産業の業績を押し下げ、その結果として株価の下落が続いているわけです。この国の経済が輸出産業で維持されてきたという証拠のような話です。


 株価上昇のためには外資を導入するしか方法はないわけで、グローバル化を拒否した日本に外資が入ってくるわけがありません。それではグローバル化すればよいと思うかもしれませんが、この数十年の間に日本はグローバル化について考えに考えた結果、グローバル化は日本にとってマイナスの要因が大きく、導入すれば日本的なシステムや日本のアイデンティティを壊してしまうと考えました。そもそもグローバル化はアメリカ化のようなものですから、日本人が企業に対して持っている認識と大きく違うわけです。また、グローバル化は貧富の差を拡大し、格差社会をもたらすことがわかっていますから、グローバル化が経済発展の切り札とは考えていません。

 構造改革で、新しい技術を用いた新しい産業を立ち上げ、日本経済を再建しようと考えているようですが、そのための研究費が削られ、いつ再建できるのかわかりません。こうしている間に、後続の途上国が日本を次々とキャッチアップしています。私たちはいよいよ、何をしなければならないのか、どうするのか、決断を迫られているようです。