2019年1月14日月曜日

企業の環境問題に対する取り組み


 かつて公害の原点といわれた足尾鉱毒事件は、国および栃木県が古河の経営する銅山を守るために、渡良瀬川流域の農家や谷中村の人々を苦しめ、国や企業の経済発展を何よりも優先してきた。現在では、プラスチック製品の海洋汚染について関心が世界的に高まっていて、プラスチック製品の自粛や代替品の開発が急がれているように、環境問題について、人々の関心は非常に高まっている。

ISO14001は、環境マネジメントシステムに関する国際規格で、社会経済的ニーズとバランスをとりながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示している。これは業種・業態を問わず、あらゆる組織が利用し、認証を取得することができ、環境パフォーマンスの向上、環境目標の達成、省エネルギー省資源によるコスト削減を目指している。

企業のCSR(企業の社会的責任)としての環境問題への取り組みは2000年頃から始まり、トヨタ、リコー パナソニック 帝人 ソニー キャノンなどはCSR経営を打ち出した。環境にやさしい車の開発や、スマートシティーの開発に力を注ぎ、積極的に再生可能エネルギーの普及を目指した企業活動を行っている。現在の地球環境の破壊は、企業が経済活動の中で行われた結果であり、その事実の上に現在の企業は、企業活動を通して環境の保護ができることを証明している。

コーポレート・レピュレーションとは「企業の評判」や「風説」のことで、環境に配慮した経営を行うことで企業の評判を高め、これを企業の無形資産とする経営である。こうした取り組みは企業にとって、環境破壊の因果関係や責任問題を問うことによるイメージダウンよりも、受け身ではなく、積極的に環境改善等の取り組みに力を入れていくことでイメージアップを狙っている。

このような環境関する研究は、今日の地球環境問題に対応するために重要な学問分野であり「環境マネジメント」として成立することになった。実際、損害保険会社は環境破壊に伴う賠償金の支払いを減らすための取り組みとして、環境の保護を重要な経営活動と位置付けることにしている。このようなマネジメント活動が企業の業績に影響することになる。企業は、持続可能な社会を実現するための企業の社会的責任を通していかなければならないとの認識が高まっている。

 

環境問題


 

 
    人類にとって環境問題は古くから大きな問題であり、気候や自然現象、地理や地形などの知識に頼って、定住する土地を決めていた。それでも環境の変化によって、都市が丸ごと廃棄され、自分たちで居住地の環境を破壊した結果、住むことができなくなったところもあったようである。昔のパリの街に限らず、どこの都市でもごみや糞尿の処理が間に合わず、伝染病や悪臭に悩まされていたようでもある。

 現代社会でも先進諸国はそこまで酷くないものの、大気汚染、水質汚染など、次々と突きつけられる様々な環境問題に直面しているのが事実である。社会・経済活動の拡大や人口の増加は、地球環境問題を深刻にしている。人類が放出した二酸化炭素は地球の温暖化をもたらし、温暖化の原因といわれ、結果としてオゾン層の破壊、酸性雨、砂漠化、熱帯雨林の減少、動植物の絶滅や、絶滅危惧種の増大をもたらしている。さらに大気汚染、騒音問題、水質汚濁やプラスチックなどの生活から排出されるごみ問題など都市・生活型の環境破壊も解決されていない。環境破壊の結果、気温上昇 海面上昇 エルニーニョ ラニーニャ現象、  ヒートアイランド、干ばつ、竜巻、台風、スモッグ、赤潮、生態系破壊、などについても解決の道を見つけられていない。

 環境問題については先進国と途上国の認識に大きな乖離があって、環境を汚染する物質の排出基準についても途上国側は現在の地球環境の破壊を行ったのは先進国側で、途上国には責任がないとの立場で厳しい規制に反対している。199712月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議で採択された、京都議定書は、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも 5%削減することを目的と定めた。日本もマイナス6%の削減を約束したが、結果としては実現できなかった。2015年にパリで開催された会議ではそのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスをとることを決めた。7しかし2017年にアメリカのトランプ大統領は、このパリ協定からの脱退を宣言した。

 現在人類は環境に対して、まったく無知な人は少ないと思われるが、環境よりも経済発展に重きを置く経済中心主義的価値観をもつ国や人々がいる反面、それでも地球の環境を守ろうと考える人々は多く、その対策も多岐にわたっている。極端な環境悲観主義的価値観を持つ人々は人類の生活を根本から見直し、地球環境に負荷をかけない生き方を模索し、環境保全的価値観を持つ人々は破壊と再生のバランスを考えている。20183月に亡くなったホーキング博士は20177月、英国放送協会(BBC)のインタビューで、このまま人類が二酸化炭素(CO2)を排出し続けるなら「気温250℃、硫酸が降り注ぐ、金星のような高温の惑星へと地球を追いやるだろう」と警告している。そして人類に残された時間は100年で、それまでに地球以外の惑星を植民地にするよう提言している。つまり私たちは地球を使い捨てにしようとしているのである。

2019年1月7日月曜日

企業のAI・IoT戦略



 当初2020年に予定されていたパソコン、スマートフォンの5G時代が、思ったよりも早く到来しそうである。現在の4Gよりも100倍大きい容量を持つ5GIoT戦略を採用するためには必要なツールである。それによって、IoTを基調とする産業は競争で新しいビジネスを立ち上げようとしている。車をはじめとする乗り物や、スマートファクトリーと呼ばれる無人の工場、介護や育児の現場、金融、公共機関まであらゆる現場で今までとは異なる仕事形態をとるようになる。あらゆるモノがインターネットに接続され、大量の情報のやり取りが高速で行われることで、IoTは現実の問題になってきた。日立が河村隆氏のリーダーシップで、家電メーカーからインフラ設備会社に転換されたが、欧米では日本よりも早くから、インフラ設備に注目していた。

 注目を集めていたのはドイツの「industry4.0」で、このプロジェクトはAIIoTやスマートファクトリーの技術を駆使して製造現場内外のモノやサービスを連携することによって今までに無い新しい価値を生み出し、新しいビジネスモデルの構築を狙って、産官学が一体となって事業活動に取り組んでいる。

スマートグリッド
    スマートグリッドとは、スマートな電力網ということだが、工場や家庭に新しい電力メーターを設置し、リアルタイムの電力使用量によって発電システムをコントロールするもので、再生可能エネルギーの効率的な利用を考えている。先進国では電力網更新の時期に入っているので、これを機に全く新しい情報システムを併用した電力網を構築しようとしている。これによって、電気自動車の効率的な利用も可能となるので、発送電業者や自動車会社などが、すでにこの分野に参入している。

Society 5.0
     Society 5.0とは国交省が推進するスマートシティーで、人口減少・超高齢社会、厳しい財政制約等の諸課題が顕在化する中、住民生活を支える様々なサービス機能が確保された持続可能な都市構造を実現するため、AIIoTを利用したコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを推進している。AIIoTの利用が、既存の都市を大きく変えようとしている。このようなスマートシティー構想は国交省だけではなく経産省や総務省、など多くの省庁、大企業によってバラバラに計画されていて、政府は本気でスマートシティーを創ろうとしているのか疑問である。
AIIoTと政治
     情報化社会の始まりの時も同じ事が起こった。当初、新しいシステムの導入は産業経済の発展につながると歓迎され、積極的に導入しようとするものである。しかし、それが自分たちの権益を侵す存在だと気が付いたとき、彼らはその発展を押しとどめようとする。スマートシティー構想も、積極的に進めてきた組織や機関が、原子力発電を中心とする既存の巨大な権益を壊すのか、あるいは新しい権益をもたらすのか様子を見ながら進めているのが現状である。AIIoTといった社会の進歩や発展に必要なインフラも自分たちの利益につながることでなければ協力しないのが現代の政治である。