2018年10月25日木曜日

知的財産権



知的財産権(知財権)について

 

 人間の幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるようにしたのが知的財産権制度である。かつて知的所有権と呼称されていたが、その所有権に価値があるものであると認められなければ意味がないので、現在は知的財産権と呼ばれている。知的財産権は知的財産基本法によって、特許など独占的に利用できることが保証されている。

知的財産権の種類

 
保護対象
事例
保護期間
特許(発明)
発明や高度なアイデア
物、方法、生産方法
長寿命の蓄電池など
出願から20
医薬品は延長可
実用新案(考案)
発明よりレベルの低いもの(無審査)
日用品の工夫など
出願から10
意匠(デザイン)
物の形状、斬新なデザインなど
家電製品の外観など
登録から20
商標(マーク)
他社との区別として
ロゴ、キャラクター
登録から10年(更新)あり
著作権
文学、学術、美術、 音楽、プログラム
書籍、雑誌の文章、
論文など
創作時から作者死後50年(映画は70年)
半導体回路配置
半導体チップの回路配置
CPUなどの回路配置
登録から10
商号
社名
○○株式会社など
期限なし
植物の新品種
育成者権(種苗法)によって保護
花や樹木の新品種
 
登録から25
樹木は30
(不正競争防止)
類似したデザインなどの使用を差し止める
ドメイン名の不正取得など
期限なし
                                   特許庁「特許ハンドブック」より作成

知的財産権戦略

企業は情報漏洩によって大きな損害を出してきた。日本の営業秘密保護法制はあまり厳しくないので情報漏洩がなくならない。その原因の一つが、工場の閉鎖やリストラによって従業員が他社や他国の企業に雇用された結果、起こることが多い。近年、知財戦略は重要な役割を

・オープン&クローズ戦略

会社のコアの部分はクローズにして、社内だけでやり、そこを収益の源にする。それ以外をオープン領域として途上国などに技術を移転し安い労働力を利用する。

・特許の公開戦略 

特許を誰でも使えるようにして国際基準にしてしまう。トヨタの燃料電池技術は世界基準を目指して技術が公開された。

 

国際特許出願件数

 
2014
2015
2016
アメリカ
61,483
529,632
56,440
日本
42,381
455,005
45,220
中国
25,548
1,010,448
43,128
ドイツ
17,983
14,795
18,302
韓国
13,119
238,045
15,554
                       GLOBAL NOTE社データ  2017.

日本企業の特許出願件数ランキング

順位
出願人
件数
前年順位
前年件数
2017年 特許取得件数
1
三菱電機株式会社
4358
7
3648
2097 1位)
2
キヤノン株式会社
4209
1
7670
1869 2位)
3
パナソニックIPマネジメント社
3366
3
4392
1467 3位)
4
トヨタ自動車株式会社
3018
2
5128
1331 5位)
5
株式会社東芝
2093
5
3918
839 10位)
6
富士通株式会社
1911
9
2866
1142 7位)

特許庁広報より

先発明主義と先使用主義

先発明主義とは、最初に発明をした発明者に特許権を与える制度。先願主義とは、最初に特許出願を行った者に特許権を与える制度。先進国では先願主義を採る国が大多数であり、最後まで先発明主義をとっていたのは米国であったが、2013年以降アメリカも先願主義を採用することになった.

サブマリン特許

出願された発明のうち、記載された発明技術が普及した時点で特許権が成立するとともに、その存在が公になるものを言う。1987年アメリカ合衆国ハネウェル社が同社の保有するオートフォーカス技術の特許侵害で訴訟を起こし、ミノルタは約1億ドルもの和解金を支払うことになった。

 

特許庁の役割

特許庁は世界中から特許の出願を受付け、特許権等の独占権を与えるかどうか判断している。また、審査結果に不服があった場合、地方裁判所に代わって民事訴訟法に準じた審理が行われます。さらに国際的な特許にかかわる取り決めについて交渉を行っている。

 

知的財産権についての課題

・グローバル化への対応・・・特許協力条約(PCT)意匠については未加入

・知財の複合的保護の模索

・先進国の特許出願件数が低下している(日本は2001年から下降、近年微増)

 

2018年10月22日月曜日

人的資源管理


人的資源管理(HRM

人的資源管理とは

人的資源管理とは労働者である人間を、組織の目標に合わせてマネジメントすることである。かつて労務管理はブルーカラー労働者、ホワイトカラーは人事管理と言っていたが、労働構造の構造変化に伴い半化し続け、現在はhuman resource management(HRM人的資源管理)というようになった。労働者の管理を働く人間の視点で管理するのは日本的経営の神髄で最も得意とする分野である。実は日本的経営が欧米に伝えられ、それが改良されて戻ってきたのがHRMなのである。

人間としての労働者

私はヒト・カネ・モノという表現に抵抗がある。人をカネやモノと一緒にした経営など尊敬できないからである。あらゆる管理において人間は特別な存在で、意思を持った労働者が企業の目標に合わせて、その能力を最大限発揮することを求められる。しかし人間は、自身が納得しないとその能力を十分に発揮しない存在でもある。企業はどのようにしたら、労働者の能力を十分に利用できるのか、人的資源管理のめざすべき方向である。そこでQWL(quality of working Life)つまり労働生活の質が見直され、人間らしい働き方について模索されるようになった。

人的資源管理の要素

 HRMの要素には、採用・能力・動機づけ・教育・評価・成果・報酬などがある。しかし、これは会社側からのアプローチで、労働者は同じ仕事に対して自らマネジメントする能力を兼ね備えている。そのために必要な要素は、社会参加意識・やりがい・向上心・社会的地位・信頼・充実感・生活設計などである。企業はこうした個人の仕事に対する取り組み方についても考慮すべきである。

人的資源管理の事例

 マイクロソフト社の場合、採用する人材は特に優れた人材のみを対象とし、その候補者の中から厳選してスカウトする。条件は誰でも入社したいと考えるだけ十分に魅力的であるが実際採用されるのは数%と言われている。入社後は激しい競争が行われ、優秀であれば若くして重要な地位につく。(三輪卓巳稿「IT技術者の人的資源管理の事例分析」

 トヨタの場合、効率的で大規模に行われている品質管理運動であるトヨタシステムの中の一部としてHRMが行われてきた。トヨタの成功は現場で働く労働者が、テイアン・カイゼンといった自主的な活動によって支えられてきた。現在でもQC活動を通じて、熱心に生産性向上のために新しいトヨタシステムの改善を行っている。

人的資源管理の課題

 近年、QC活動を廃止する企業や職場が増えてきた。無意味な提案や改善によって時間の無駄と言われ、次第に停滞していった。職場環境が変わり、短期間の非正規雇用者が増え、給与も時間給が増加し、労働時間に含まれないQC活動など参加したくないのは当然である。今後、日本のHRMを育てるためには今までとは異なった方法が必要である。

2018年10月2日火曜日

資本主義システムの本質と株式会社制度


経営管理総論B               2018.10.2

資本主義システムの本質と株式会社制度
  資本主義とは何か
 資本主義の前の社会を封建主義社会と言う階級社会で、生まれた時にすでに自分の社会的地位は決まっていて変更することは出来ない社会であった。経済的には物々交換を前提としていて、基本的にはお金を使うことはなかった。こうした社会が、ヨーロッパでは250~200年ほど前に市民革命で崩壊し、資本主義社会が生まれた。日本では市民革命は起こらなかったので、中途半端な半封建的資本主義社会が今から150年前に成立した。
 資本主義社会では産業資本家が中心となって近代企業を経営し、経済を発展させるシステムである。社会的には基本的にすべての人間は自由で平等であって、民主主義を前提とした社会である。近代企業は、多くの人々によって少しずつ資本(お金)を出して、集められたこれらの資本を利用して会社を設立、経営してより多くの資本(お金)を生み出すために設立される。資本を出した人々は額に応じた株券を受け取ることができる。彼らは出資者あるいは株主と呼ばれ、受け取った株券はいつでも自由に売買することができる。また出資者には企業が儲かったなら、配当金という利息を受け取ることになる。しかし儲からなければ配当金は配られないし、企業が倒産したら出資した資本は戻ってくることはなく、それは自己責任である。

  株式会社制度
 出資者から資金を出してもらって会社を経営する人を経営者(CEO)といい、巨大産業資本では専門経営者が株主の委託を受けて、会社が儲かるように経営を行う。そのために必要なものは労働者・資本・土地・情報である。経営者は資本で工場や機械を建設し、原材料を購入して機械で製品を製造する。この製品は売却されて、原材料購入費より大きなお金が手に入ることになる。これを繰り返して、会社は次第に大きく成長していく。この工程では製品の製造段階で新しい価値が生まれたことになる。一方、製品の売却のためには流通業や商人の手助けが必要になり、彼らの役割も重要である。しかし、商業は安く仕入れて高く販売することで利益を出すので、特に新しい価値を生み出すわけではなく、資本主義社会では産業資本家の役割の方がより重要視される。

資本主義システムの変化
 資本主義社会における企業経営は、先進国において基本的に民間資本によって行われるのが基本である。国が経営するより民間が経営した方が効率的である、という理由で先進国では、すべての国有企業を民営化し民間による経営に変更した。日本では三公社五現業と言われた国有企業(国有鉄道・電信電話公社・専売公社。 郵便・国有林野・印刷・造幣・アルコール専売)をすでに民営化した。
 しかし、近年発展途上国の多くは民間企業による企業経営ではなく、国家による企業経営が行われていて、そのことで先進国との間で摩擦が起こっている。特に中国の経済発展では、中国政府による国有企業が大きな役割をはたしているので、国有企業の見直しが議論されるようになってきた。同時にそれは自由で平等な民主主義国ではなくても経済発展は可能であると考えられ、資本主義制度そのものが揺らぎ始め、変質しはじめていることを意味している。経済が発展するのであれば資本主義でなくても良い、と考える人々が増加して資本主義システムを守ろうとしなくなってきた。

  現代資本主義の崩壊

 資本主義システムの定義については特に厳密な定義があるわけではなく、時代と共に変化してきたことや各国の歴史的特質もあって、比較的自由に定義されてきた。そのため、現代資本主義はまたしても大きな変化を遂げようとしている。あるいはもう、資本主義とは呼べないような社会になくかもしれないが、それでも資本主義を守るより社会の変化を求める人々が多いということである。
資本主義システムは外部からの要因で不安定となり、さらにグローバル化など内部からの力で、次第に崩壊しようとしている。特に格差社会の出現は、マルクスが予言した資本主義最後の形態とよく似ている。つまり一部の豊かな資本家と、大多数の貧しい国民という二つの階級が出現するという予言は、まさに現代社会を意味しているように思われる。このような状況がいつまでも続くわけがないし、今のままでは現代資本主義が崩壊してしまう可能性が高い。

 

2018年4月30日月曜日


ベーシックインカム
 

ベーシックインカムとは、政府がすべての国民に生活維持に必要なお金を一律に支給する制度ことである。すでにスウェーデンなど数か国で実験的に導入されているようである。これは政府が行う究極の社会保障制度である。この制度が発表されてから賛否両論で多くの議論がある。ベーシックインカムの導入に反対する者の理由は、勤労欲をなくすとか、生産性は低下する、という議論である。当然、この制度の導入のためには、将来的に維持することができなくなると思われる年金制度や生活保護制度を廃止し、その原資に充てることになるので議論は必要である。

やはりこの制度を導入するには一定の社会的条件があるということである。ベーシックインカム導入の条件はAIによる生産性向上により、人間の労働を必要とされなくなって、多くの失業者を出しているとき。人間の労働を必要としなくても企業は十分に儲かっている状況ならば格差社会の解消と、富の再配分という意味で、この制度の導入は可能である。

しかし、基本的にベーシックインカムは生産性が高くて国民の労働を必要としなくなった社会でこそ必要な考え方であって、そのような社会が出現するのかさえ不明である。現在の日本社会において行う政策ではない。しかし少なくても、労働とは何かを考えるための材料にはなる。