2020年1月21日火曜日

経営管理の課題(来るべき時代の変化に備えて)

  日本の経営管理については従来から多方面で議論され、問題の所在はだれでもよく分かっているように思われている。しかしながら、海外の経営管理と比較して、異なる日本的な部分の評価については相変わらず意見が分かれている。最初から日本的な特質を遅れた封建的な経営管理と否定する研究者と、それを日本的な特質として受け入れ、長い時間かけて構築された日本的な経営管理は海外では受け入れられなくても、日本人の生活に密着した管理方法と評価する研究者も多く存在する。海外で研究して戻ってきた若い研究者に見られる、欧米崇拝的な経営管理理論は、そのまま日本に当てはめてもうまくいくわけがないし、日本の経営管理をレベルの低いものとする考え方は、いかがなものなのか。この国が日本的経営で世界一流の近代国家を構築したことを忘れるべきではないし、欧米型のグローバル経営で日本も世界も矛盾が拡大し、不幸になる人たちが続出している現状を見ようともしていない。やはり新しい時代に合った日本的経営の構築を目指すべきである。

近年話題になっている「働き方改革」についても同様の評価があるものの、残業が後ろめたいものと認識し始められていることは、それなりに効果なのかも知れない。しかし、働き方改革が残業の問題に集約されてしまい、もっと大事な労働の本質を議論しなければならなかったのに、この部分は葬り去られてしまったのは、何か意図的なものを感じる。つまり、議論させたくなかったのか問題の所在そのものを覆い隠してしまったようである。

経済の二重構造は解消するどころか、ますます拡大し、大企業の労働者は比較的短い労働時間(1800時間)で賃金は高く、福利厚生施設は充実し、働く環境も良好であるのに対し、中小企業労働者は長時間労働で、少ない賃金を補うために残業を余儀なくされているにも関わらず、残業カットによる賃金の減少は議論ざれなかった。さらに正規雇用と非正規雇用の問題も非正規雇用者を2000万人も増やし、彼らに残された正規雇用への道をふさいでいるのは何のためなのか議論されなければならなかった。残業の問題などは、労働者の自由に任されるべき問題で、他人が口を挟むことではない。ただサービス残業や、残業の強要が行われていたことが問題なので、残業そのものについては労働者の自由裁量の範囲である。 

このブログを始めた当初から、「大きな変化の時代が来る」と言い続けてきたが、いよいよ、その変化が誰の目にも見えるようになってきた。変化はすでに起こっていた。経営管理に関するすべてが大きく変わる。働き方が大きく変わる時が来た。企業に頼る時代は終わった。企業に雇用され、指示・命令で働くのではなく、一人一人が自分で仕事を選び、そのために必要なスキルを身に付け、プロフェッショナルとして企業を利用して働くのである。プロがプロの仕事をするために企業が必要なのであって、企業が主役ではなく、働く人々が主役になる時代である。ある一面、厳しい時代なのかもしれない。企業に頼って働く方が楽かもしれない。しかし時代はすでに変わってしまったし、戻れない。この変化を見ようとしなければ、人も企業も置いて行かれる。就職とか定年などという言葉も過去のものとなるであろうし、あたりまえだけれども自分のことは自分で決めるべきであり、当たり前なことなのに、現在の経営管理は自分のことを他人が決めていることにお気が付いていない。このような時代の変化を捻じ曲げようとするものはいつの時代にも存在するが、この変化は明治維新にも匹敵するような変化である。明治維新期にも時代の流れを止めようとして争った人たちが多く存在した。しかし、結局大きな時代の変化には勝てなかった。変化に付随して起こる諸問題は、その都度解決していけばよいので、大きな流れの方向を見失わないように心がけることが必要である。

 
最後に私の授業を受講してくれた諸君の将来が、明るく開けていくことを願っています。
ありがとう!

2020年1月20日月曜日

カルロス・ゴーンの経営

なぜカルロス・ゴーンが日産自動車のトップになったのか。

2000年日産自動車は6000億円以上の負債を抱え、経営破綻寸前だった。トヨタに対する対抗意識が高く、儲からなくてもとよたと同じような経営を行ってきた。しかし、無借金会社のトヨタは日産のライバルではなく、トヨタ独自のトヨタローンを組んで顧客に車を売れば、利子だけでもトヨタは利益を出すことができるので、場合によっては原価で売っても利益は出る会社である。日産は儲からなくても車を売り続けた、いわば経営者の責任は重い。

 結局、日産自動車はフランスのルノー社から資金の援助を受けて再建することになった。ルノー社はミシュラン(タイヤ会社)の再建を成功させたゴーン氏を受け入れ、わずか1か年で経営を再建した。しかしそのやり方は、工場ごと廃止し、そこで働いていた労働者14万人のうち21千人を一度に解雇してしまった。強引で、超法規的なやり方は批判されたが、日産の再建を成功されたことでゴーン氏の名声は高まり、カリスマ経営者の名声を手に入れた。通常、社員を解雇するためには、出来るだけ解雇せずに済む方法やいくつかの問題をクリアしなければならない。だからそれまでの日本人経営者は大量解雇できずにいた。ゴーン氏は法的手続きを飛ばしてしまい、だれもそれを非難しなかった。つまりゴーン氏の経営は最初から法を無視した超法規的経営だった。彼にコンプライアンス(法を順守する)を求めるのは無理だったということである。それなのに日本人は、彼を褒めたたえカリスマ経営者と祭り上げてしまった。今更彼に法を守るように説得しても意味がないし、彼は、法を無視した、やりたい放題の経営を行ってきた。伝えられるように、彼は年間10億円の給与を得てきただけではなく、その数倍の資金を日産から得てきたことのようである。10億でも日本の経営者の中では最高金額である。彼は、アメリカのグローバル企業は、日産より小さな会社でも、もっとたくさんの給与を得ていることを知っていた。

 グローバル企業の経営は、あまりにも多くの問題があり、そのやり方は明らかに誤っている。ドラッカーは経営者の給与は一般的な社員の7~8倍程度が望ましいと語ってきた。その後も、グローバル経営者があまりにも多くの給与を得るようになってからも、20倍以内にしろと述べている。ゴーン氏の給与は200倍どころではなく1000倍近い給与を得てきたことになる。明らかに間違えているが、これがグローバル経営の実態である。

 

コーポレートガバナンス

 コーポレートガバナンス(企業統治)とは経営者が、どのように組織を管理するのかという問題である。当然、コンプライアンスは当然のことであるが、それより重要なのはゴーン氏の経営によって、日本のグローバル企業の多くが、ゴーン流経営を肯定してしまった結果、誤った方向に向かってしまったということである。経団連の経営者たちは、口をそろえて、いつでも労働者を解雇できるシステムを造れと言って、政府はそのような法改正を行ってきた。経営者の給料は上がる一方なのに、そこで働く労働者の給料は低いままである。小泉内閣以降、現在に至るまでグローバル化を過信して労働者を無視し、それまでの終身雇用制度を廃止し、再雇用制度も整備もせずに、労働者を不安定な地位に貶めてしまった。

 この授業でしばしば、話してきたことだが、「企業経営の目的は社会貢献である」利益は社会貢献するために必要な条件であり、それが目的ではない。ゴーン流の経営は、この面でも誤っているが、私たちも働くことが人生の目的ではないことを再認識するべきである。働くために生まれてきたのではない。社会生活を送るためにお金が必要なので、そのためのお金を得るために働くのである。家庭や家族を守ること、地域社会で楽しく暮らすこと、友人や仲間と楽しい時間を持つこと、そして何より自分がやりたいことを実現するために働いていることを忘れてはならない。

 日本社会は、海外の誤った潮流に乗せられ、自分たちの進むべき方向を見失ってきた。従業員を大切にしてきた日本の経営管理は間違えていなかったことを誇るべきで、本当に正しい方向へ自信を持って舵を切り直し、世界にそれを示すべきである。

2020年1月6日月曜日

新しい経営管理論を求めて

 社会を理解するためには一本筋の通った理念あるいは哲学が必要で、それが欠如していると場合当たり的な理解しかできず付和雷同し、強い者や全体の流れに流されてしまう。複雑な世界の、様々な考え方が縦横無尽に飛び交う現在、個別には理解できても全体の整合性を持った体系的な理解はしにくい。すべての事象を集めても全体を説明することは出来ない。たくさんの知識を身につけて、それを自身の教養としても、到底個人の行動を左右する根本の考え方になるわけではない。 

 むしろそのような個人の行動様式を決定するのは、子供の頃過ごした地域の習慣や伝統に左右される場合が多い。つまり子供の頃過ごした地域の文化や宗教が、成人してからも影響を及ぼすということである。それでは日本の文化や宗教が個人の行動様式を決定するほどの理念や哲学を持ち合わせているかといえば、残念ながら決してそのような大層な考え方が存在するとは言えない。多神教国家では「何でもあり」という考え方に陥りやすく、人々を支配するためには何か別の形で強制的に縛り付けるシステムを用意しなければならない。それが地域の風習や伝統で、それは理屈抜きの強制で、整合性など無視した矛盾だらけの行動を強制されるのである。哲学や理念など関係なく、繰り広げられる日常の出来事は次第に個人の考え方など必要としないで、所属する集団の行動様式に理屈抜きで従うようになる。現在でも、戦前の軍事ファシズムに対して、それがファシズムだといわれても理解できずにいるのは、それが当然のこととして受け入れてきたからである。そこには個人の思想や哲学など存在しなかった。 

 戦後日本人が目指した目標は豊かさであり、経済発展による国土の再建と個人の資産を増やすことだった。それによって日本人は一つになり、戦前武力によって成し遂げようとしたことを経済力によって実現したといわれるように、目標に向かって突進し経済大国の地位を手に入れた。問題は、日本人の意識が戦前と比べてそれほど変わっていないことである。相変わらず理念や哲学の不在と、自ら考えることをしていない。経済が発展し、豊かさを実感しているときは会社でどのような管理をしても我慢もできた。しかし、時代は変わりつつある。 

 経営管理の在り方が、今のままで良いわけではない。今までの社会は経済が中心に置かれた社会で、それで日本人は団結することができた。百年に一度とか大きな時代の変わり目と言われる現在、新たな理念や哲学がもとめられる。元来、理念や哲学不在の社会だったのだから、新たにではなく初めて日本の哲学を構築するときが来たというべきであろう。 

 新しい社会の哲学は、人間を中心に置かなければならない。主役は人間であり、人間を大切にし、人間本位の考え方でなければならない。そのように考えると、今までの経営管理は根本から考え直し、新たな経営管理が必要であり、すでにそのように変化している。以前のように大金持ちが尊敬されなくなった。かつて松下幸之助は「経営の神様」と言われ、尊敬の対象であったが、現在の大金持ちは人々から胡散臭い目で見られるようになった。日本人の求めるものは、自由で平等そして自分がやりたいことができる本当の味での「豊かな社会」である。 

 働かないことが悪であるというのは経済中心時代の考え方であり、働くか働かないかは自分で決めるもので、他人から強制されるものではない。さらに働く者は、指示・命令されて働くべきではない。もちろん、働く者は成果を上げなければならない。今までのように働いているふりは許されないし、結果を求められる。そのための新しい経営管理論を必要としている。 

2019年12月24日火曜日

管理組織の形態とNPO

かんぽ生命と日本郵便の不正保険販売について、問題点が明らかになった。つまり高齢者をだまして生命保険に加入させたということである。しかも、このような不正な手段で加入させた社員には高額な手当てを出して、儲かればよいという経営を行ってきたということである。
 郵便局ともあろうものが、このような不正な行為を行ってきたということは、郵政民営化の弊害によるものと断定せざるを得ない。そして、この会社の価値観やコンプライアンスと管理の在り方に大きな問題があるということである。

私は企業の目的について何度も話をしてきた。企業の目的は利益を出すことではなく、社会に貢献することである。そして、社会貢献するために利益を出さなくては何もできない。だから企業が利益を出すのは目的ではなく、必要要件なのである。かんぽと日本郵便は利益を出すことを目的にしてしまった結果、このような不正を不正と感じなくなってしまったのだろう。

企業組織には国営、民営、第三セクターという分類があり、民営企業には株式会社、有限会社、個人会社などがある。これらの会社は利益を出さなければ最悪の場合、倒産してしまうことがあるので営利企業という。これとは別に利益を出さなくても良い組織もあり、それはNPOやNGOという非営利組織である。株式会社の悪い点は利益が出ないことには手をだせないということである。そこで、利益を出さなくてもよいNPOやNGOについて注目が集まっている。

特定非営利活動法人(NPO法人)制度とは

特定非営利活動促進法は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行された。
 
特定非営利活動は、以下の20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とする。つまりNPOは広範な、と言うよりほとんどすべての分野へ進出することができる。



1 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2 社会教育の推進を図る活動
3 まちづくりの推進を図る活動
4 観光の振興を図る活動
5 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7 環境の保全を図る活動
8 災害救援活動
9 地域安全活動
10 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11 国際協力の活動
12 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13 子どもの健全育成を図る活動
14 情報化社会の発展を図る活動
15 科学技術の振興を図る活動
16 経済活動の活性化を図る活動
17 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18 消費者の保護を図る活動
19 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

NPO法人は、特定非営利活動に必要な資金や運営費に充てるために、特定非営利活動に支障がない限り、 特定非営利活動に係る事業以外の事業(その他の事業)を行うことができる。 この場合、「その他の事業」に関する会計を特定非営利活動に係る会計から区分しなければならない。

▼NPO法人の場合
メリット
設立に費用がかからない
補助金や支援プログラムの種類が多い
税法上の優遇がある


デメリット
設立に時間、人が多く必要になる
役員の親族規定がある
活動内容に制限がある
所轄庁への事業報告や情報公開等の義務があり、活動内容をオープンにしなければならない


▼一般社団法人の場合
メリット
設立にかかる時間、人が少ない
役員の親族規定がない
活動内容の制限がない
活動内容を外部に開示する必要がない

デメリット
設立に費用がかかる
補助金や支援プログラムの種類が少ない
非営利型でなければ税法上の優遇が受けられない

2019年12月16日月曜日

エネルギー・環境と企業の社会的責任

 1エネルギーと環境問題
① エネルギー産業は利権の塊
3月11日の震災直後に起こった東京電力の福島第一原子力発電所の事故直後、多くの日
本人は原子力発電所はいらないと判断し、現在でも国民の半数以上の人々は原発再稼働に
反対している。ところが原子力関連企業は、あらゆる手を使って、原子力産業が日本にと
って必要であると明言し、マスコミ、出版、研究者、広告、政治家を総動員して、あれほ
どの事故でも安全であり日本に原発は必要だと言い続けている。資源エネルギー庁は平成
30年「原子力に関する国民理解のための広聴・広報事業」に4.3億円「広報・調査等交付
金」は8.3億円を使って原子力発電の必要性を訴えている。 1  関西電力の経営者による7
年間で3億2千万円にもなる金品の受領問題は、原子力発電に関わる年間数兆円ともいわ
れる利権全体のごく一部が発覚したに過ぎない。
なぜこれほどまでに原子力産業に固執するのかといえば、国策であり、やはりエネルギ
ー産業は利権の塊で、エネルギーは儲かる、特に原子力発電は日米産軍複合体(東芝WH,
日立GEなど)による強固な世界戦略の一端を担う、儲かる産業なのである。石油利権が欧
米の手から産油国側に渡った現在、アメリカにとって原子力利権は手放すことができない
重要なものである。原子力発電の原子炉技術は、日米が最高峰の位置にあり、これから開
発途上国に売り込むためにも、国防上の理由からも原子力が安全であると訴え続けなけれ
ばならない。資本にとって脱原発などの選択は容易ではなく、一方の儲からないエネルギ
ーとしての再生可能エネルギーは、資本から疎んじられ、世界の潮流は再生可能エネルギ
ーの利用であるのに、たいへん皮肉なことに原子力による大きな被害を経験し、国民が拒
絶している原子力産業からの脱却が最も困難なのが日本なのである。原発事故の責任の所
在について議論はしても結局だれも責任を取らず、不可抗力の天災ということでかたづけ
てしまおうとするやり方は、日本の社会システムが過去から何も学ばず、何も変わってい
ないことを示している。 2

 株式会社制度下での環境問題
株式会社制度の最大の欠陥が、儲からない仕事はできないことである。それが分かって
いるから、一生懸命に社会貢献をPRし、多くの企業のwebサイトには必ずといってよいほ
ど社会貢献欄があって、いかにも社会の役に立っているように見せているが、企業による
環境問題の取り組みは不十分で、温暖化防止対策に対する意識も高まりを見せていない
。 3  それでも中には環境NPO組織と協働することで、社会貢献に取り組む企業がある。社
会貢献上手だが金集めが下手なNPOと、社会貢献下手だが金儲け上手な組織が手を組むこ
とで成果を上げ高い評価を上げている組織の取り組みは期待したい。出来ることならば環
境問題は制度化して、企業の義務として行わなければならない事案で、いずれにせよ企業
の善意に頼る環境問題の解決を待っている時間はない。
1 平成30年3月20日経済産業省、資源エネルギー庁 対話後方の取り組み。
2 福島第一原子力発電所事故で、業務上過失致死傷罪により起訴された東京電力の旧経営陣3人は東京地方裁判所から無罪判決を言い渡された。
3 環境省「環境にやさしい企業調査」平成29年度。
                                      

 株主資本主義の誤り
 「企業はだれのものか」という議論では、株主優先で結論が出た、というより押し切ら
れてしまった。従業員優先の日本的経営は時代遅れのローカルな考え方、として片づけら
れ、その結果、終身雇用は崩壊し、非正規雇用が増え、会社の利益を労働者には分配せず
、それより株価を上げるため、株主への配当金を多くすることで、世界の投資家を呼び込
み、無節操な経済活動を仕掛け、日本においても格差社会が誕生していった。
 ヘンリー・フォードが自動車会社を創業した時、多くのスポンサーが資金を提供して会
社が設立された。確かに、この時この会社は株主のものと言ってよいだろう。明治初期、
三菱における株式会社設立は、岩崎弥太郎個人による出資で、いわば株式会社制度を組織
支配の目的に利用した、どちらかというと日本の場合、株式会社制度がゆがめられた形で
スタートした。圧倒的多数を占める日本の中小零細企業は、大企業と異なり経営者自身に
よる出資で会社が設立される場合が多く、資本と経営は分離されていない。長期雇用で会
社と信頼関係を維持し、会社を守ってきたのは株主ではなく従業員だった。
株主資本主義的な考え方は、実は株主を盾にした経営者支配の一つの側面で、経営の責
任を実態のはっきりしない株主に押しつけているのではないだろうか。海外の投資家を呼
び込むため、グローバル化政策で株主資本主義をとり、企業が投機の対象とされる不健全
な株式会社制度が一般化することは、従来の日本的な経営の考え方の対極に位置するもの
で、非正規雇用の低賃金では生計も立てられず、忠誠心も仲間意識も消え、働く意欲さえ
も失われていく結果となった。問題は従来の日本的経営では世界の潮流から取り残され、
いままでのような経済や国民生活を維持することは困難であるから、新しい日本企業の経
営理念が必要になったということである。

 近未来への危惧
 2017年にS・ホーキング氏はAIを導入することで、人類に残された時間は100年と述べた
ことはよく知られている。西澤潤一氏も「人類は80年で滅亡する」と環境問題の現状分析
の結果から予知している。 10  多くの分野の研究者がそれぞれの立場で、人類の近未来に
危機感を表明している。 11  原発についても同様で、どこの国でも原発ごみの処理に困窮
しており、廃炉は当然でも廃棄する場所などどこにもない。
アメリカ型グローバル企業は株主の要求を盾に、自社の利益と結びついた事業には、ど
ん欲に投資を行う一方、石炭・石油をはじめとする化石燃料は未来の人類の財産として残
しておこうとはせず、未来の利益も先取りし環境やエネルギー問題、温暖化による地球環
境の変化にも気を留めず、右上がりの発展を信じ、開発一辺倒の経済活動を進めている。
さらに近年、地球の資源だけではなく宇宙の資源開発に着目し、地球資源が枯渇するとき
に備える開発が行われている。 12  
巨大なグローバル企業は、国家組織と並ぶほどの資産を有し、社会に対する影響力も大
きく、これを「株主のもの」というには、あまりにも狭視野的すぎる。環境問題を解決す
るためにはグローバル企業の協力が必要であり、現代の巨大株式会社組織には、そのコー
ポレートガバナンスに新しい視点が求められなければならない。社会に必要でやらなけれ
ばならないことは、企業の利益に結び付かなくても、成し遂げられる社会にしなければな
らない。エネルギー、環境や生態系について、そして人類が平等に幸福になるための方策
を実行することが必要である。
9 厚生労働省「労働経済の推移と特徴」2018年、26ページ。
10 西澤・上野『人類は80年で滅亡する』東洋経済2000年2月。
11 シーア・コルボーン他、長尾力訳、『奪われし未来』翔泳社、1997年。
12 日本の宇宙開発利用体制は内閣、文部、経産、国土、環境省と広域に跨り検討され、2016年11月宇宙活動法が成立、世界的な開発競争が行われている。

 環境問題対策の新潮流
 さらに民間企業においても大きな変化の時代を迎えている。仮想通貨やキャッシュレス
社会の出現で、今までよりも銀行の存在感が薄くなるとの認識が、銀行経営に大きなイン
パクトを与え、大手都市銀行で数万人単位の解雇が始まった。追い込まれた銀行は、API
(Application Programming Interface)戦略を採用し、異業種連携によるビジネスアイ
デア共創の場を提供し始めている。銀行のソフトウェアを一部公開して、他企業のソフト
ウェアと機能を共有できるようにして、異業種・他企業と新しいビジネスを創造していく
契機にしている。ここに環境保護を目指す組織が参入することで、今までになかった新し
いビジネスや、環境に関するイノベーションを生み出すことが期待される。
グローバル資本が私欲ではなく、本当の意味で地球の環境を復活と人々の幸せのために
機能させることが大切である。当然、問題課題は山ほどある。どのように現在のグローバ
ル資本を環境重視型の企業に代えていくのか、新たなイノベーションを必要としている。

結論
 日本において株式会社制度は人間主体の制度であったのに対し、アメリカ型のグローバ
ル会社制度は、他国に対して大きな犠牲を払わせるものだった。それは資本や労働だけで
なく、自然環境に対しても同じである。長い停滞とアメリカからの圧力で日本の株式会社
制度は大きく傷ついてしまった。
時代は大きく変わろうとしている。このチャンスに日本は現在の会社制度をアメリカ型
グローバル経営から、多くの人々が共感できる新しい制度に改革するべきである。必要な
のは破壊した日本的経営を再生するのではなく、新たな視点で創造するという壮大な目標
を掲げることである。エネルギー資源の少ない日本にとって、安全で環境破壊の少ない新
たなシステム造りは、絶対必要な要件である。そのためのイノベーションやスタートアッ
プ企業には集中的に支援し、日本発の新たなビジネスモデルを構築することが望まれる。
現代社会をすでに資本主義の末期あるいは、今までとは異なる資本主義体制への転換点
なのではないかと考える。資本主義が生き残れるか否か、環境問題の解決にかかっている
。それはグローバル化のもとに破壊された日本的経営の再構築ではなく、全く新しくこれ
からの時代に対応し、企業が指標としてめざすべき日本の経営理念を求めることである。
その概念は、エネルギー、環境そして社会貢献であり、利益の追求ではない。新たな社会
制度の中に環境問題を組み込み、現代企業が税金を払うのと同じように、エネルギーや環
境の問題について、果たすべき役割を義務化することである。日本が手本を示して、格差
をなくすことで貧困問題を克服し、日本の強みである技術力や豊かな文化をエネルギー、
環境そして社会貢献に向ける理念を構築すること。孤立を避けてだれもが共感できる理念
を打ち立てることで、同じ思いで後に続いてくる仲間を増やすことも必要である。現在の
新自由主義的な方向が行き詰まっていることから考えて、必ず新しい道を開かなければな
らないと願うばかりである。

2019年12月9日月曜日

メンタルヘルスマネジメント

 1998年バブルの崩壊後、不況が本格化すると日本人の自殺者は急速に増加し、年間3万人にも達し社会問題になった。それ以後2014年まで年間3万人以上の自殺者数は減少することはなかった。しかし、2015年以降、景気が回復してくると自殺者数は減少しはじめた。経済の停滞が、働く労働者に直接大きな負担となっている日本の現状については、見過ごすことができない大きな問題である。日本の自殺率が、労働者の責任とは無関係な、景気の動向に関わっているという事実は問題にしなければならない。さらに問題なのは日本の場合、若年層の自殺が世界で最も高いという事実である。
  ブラック企業といわれる労働者に過剰な責任を押し付ける企業についても同様である。企業で働く労働者がストレスを抱えているにも関わらず、彼らの精神的な負担は理解されにくく、こうした問題も自殺者数の増加と無縁ではない。ブラック企業の存在は、働く労働者だけではなく、学生のアルバイトにおいても深刻な問題を投げかけており、日本では労働者のストレスによる精神障害は労災として認定されにくく、ストレスによる休職者の半数が職場復帰できないほど深刻な状況で、職場においてストレスによる精神障害はいまだにしっかりと理解されていない。OECDは、日本はうつ病関連自殺により25.4億ドルの経済的損失をまねいていると推定している。


ストレスマネジメントとは
ストレスによって心身に悪影響を及ぼさないよう、対策を行うこと.ストレス状態が続くと、心身に何らかの症状が生じたり、生活に支障をきた
す。そのため、一定度合いを超えないよう適切な対処法を取ることでストレスを軽減し、上手に付き合っていくために行う対策のこと。


 ストレスチェック制度は、201512月から導入され、50人以上の従業員がいる職場で実施が義務化されている。その結果、321の企業・団体、合計72,311人分の集団分析データをもとに[ストレス要因]業種別ランキングが発表された。その結果、「建設」「卸売・小売」「金融」で仕事の負担感が高く、「郵便等」「公務」で低いことが判明し、職種によってストレスの多少があることが明らかになった。

 結果をチェックして終わりではなく、結果を活かせる環境づくりが必用で、毎年その人の状態を継続的にフォローしていくことが大切。


ストレスチェックの結果、だれがストレスを与えているのかという、犯人探しが行われる場合がある。このような職場ではストレスチェックが機能しない。すく場の人間関係は重要で、優秀な社員の健全な育成は企業の業績に大きな影響を及ぼす。



 やりがい搾取という用語が話題になったのは10年ほど前のことで、大志を抱く若者に、夢の実現を叶えるような仕事を与え、過剰に働かせるというものである。若くして思いもかけず店長やリーダーに抜擢され、あるいは自分が最もやりたかった仕事を与えることで、彼らは喜んで一生懸命に仕事に励むことになる。彼らはやがて、低賃金で長時間労働させられていたことに気が付くが、激しい体力の消耗で罹患してしまう者も多い。



 従業員に自社製品を売りつけたり、ノルマと称して過剰に物品を販売させ、売れ残ったら自分で買い取らせるなどの行為を行っている企業も多く、以前大手コンビニエンスストアやファミリーレストランでアルバイトをしていた学生が、仕方なしに大学内でクリスマスケーキを売り歩いていたことがあった。呉服チェーンに就職した卒業生が、先輩社員から高価な和服を売りつけられ、ローンの支払いに苦しんでいた者もいた。「会社が夢の実現をお手伝いする」などの言葉には要注意である。


 厚生労働省は平成12年8月に労働安全衛生法の中に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定している。学校や職場で心の病に陥った時、だれもが不当な扱いを受けないように法律で守られている。決して泣き寝入りしないように。


仕事でストレスを感じたら、うつ症状に注意し、自分で簡単なストレスチェックをしよう。

・朝起きられない

・仕事や学校に行きたくない

・笑顔がなくなった

・独り言を言うようになった

このような症状が出たら、軽いうつ状態である。職場を変えるか、病院に行くべきである。



うつにならないように気を付けよう

・朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる

・鏡で表情チェック ・ネガティブな言動は慎む

・自分に良い環境をつくる ・自分がいやなことをやらない

・がまんしないで言いたいことは言う

・瞑想などで心身の状態を整える





うつになったら

・頑張らない

・無理しない

・環境を変える

・必ず病院に行く



日本の国家予算と医療費

日本の国家予算       101兆円(2019年度)

           税収          62兆円 



日本の社会保障給付費    115兆円(2018年度)

国民医療費           40兆円

介護保険給付費       10兆円  



平均的日本人の収入と税金

年収   420万円

所得税   92千円

住民税   19万2千円

社会保険料 59万7千円

手取り  332万円