2018年3月25日日曜日


製造業からの脱却                  

 

P.F.ドラッカーは2002年に上梓した『ネクスト・ソサエティ』において「あらゆる経済大国の中で製造業従事者の割合が最低の国がアメリカである。イギリスがこれに続く。日本とドイツではまだ四分の1近くが製造業労働者である。」と述べている。「日本が競争力を維持していくには2010年までに、これが八分の1ないし十分の1になっていなければならない。」「日本はまた、これまでの教育システムを、今新たに生まれつつある雇用機会、新技術、新市場にいかに適合させていくかという難問にも直面している。」と、日本のイノベーションの必要性について述べている。2018年の現在日本の製造業の対GDP比は20%弱といったところであるが、これには日本の製造業崇拝から脱却できないことと関係している。確かに製造業は、日本の近代化以降、この国を先進国の地位まで引き上げることに大きく貢献いたし、戦後の高度経済成長においても主役の座を占めていた。また、製造業は他部門への波及効果も大きい産業である。残さなければならない製造業はしっかりと残し、途上国と競合する部門は海外へ移転を進め、そのうえで日本経済の主役の座を新たな産業に明け渡さなければならない。

さらに日本のホワイトカラーの労働生産性はOECD加盟先進国中、最下位である。こうしたことを考え併せると今、日本が何をしなければならないのかが見えてくる。新規産業の進展にあわせた労働の移動や、雇用の変化について真剣に検討しなければならない。労働の移動については、製造業従事者を新規産業へ移動させればよいという単純なものでないことは明白である。製造業の従事者が、必ずしも新規産業に適合するとは限らないからである。

 

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