2019年5月30日木曜日

総合商社論


総合商社論

 総合商社とは、製造業が生産した商品を消費者のもとへ届けるために流通機構に乗せ、あるいは顧客が必要とする商品を探し出し、配送を行う商業資本ではあるが、その規模と活動範囲は巨大で全世界に及んでいる。総合商社の活動を「原子力発電所から、インスタントラーメンまで」などといわれるが、専門商社と異なってあらゆるものを取り扱い、利益の出るところにはどこにでも進出することで知られている。日本の総合商社が、独特の形態であると言われるのは、後発資本主義国の未熟な製造業を、商業資本が流通面で補完する形で発展してきたことによるものである。政治中期、三井は工業化政策として王子製紙、鐘ヶ淵紡績、東芝などの製造業を積極的に育成したが、国内の市場では消費することができず、在庫の山となった。そこで、三井物産がこれらの製品を買い上げ、海外市場で売却に成功した。当時の日本の産業資本は、商社の力を借りなければ経営を続けることは出来なかった。こうして次第に総合商社の力が肥大化してきたのであった。先進資本主義国においてはこのようなことはなく、総合商社のようなシステムは不要であった。
 総合商社はその後、多様な商品を国内外の市場で取引を行い、さらに資源開発、投資、金融事業など、その時代に即した発展を遂げてきた。

 

総合商社のランキング 売上収益ベース:20173月期決算IFRS

1
丸紅
71288億円
2
三菱商事
64257億円
3
伊藤忠商事
48384億円
4
三井物産
43639億円
5
住友商事
39969億円
6
双日
15553億円

 

総合商社総資産時価総額

1
三菱商事
16369億円45396億円
2
三井物産
113066億円28949億円
3
伊藤忠商事
86639億円31689億円
4
住友商事
77706億円19737億円
5
丸紅
68771億円12073億円
6
豊田通商
43100億円11347億円
7
双日
23503億円
8
兼松
5198億円

2019年5月16日木曜日

トヨタ・システム 


 トヨタ・システム     
 かつてフォード自動車の工場には製鉄所,ガラス工場,ゴム工場まであった。そしてその原料を調達するために鉱山やゴム園まで経営していた。GMは現在世界一の自動車会社である同時に,世界一の自動車部品会社でもある。あたりまえのようだが,アメリカでは自動車は自動車会社で造られている。
 トヨタ自動車は日本最大の自動車会社である。そこでの車づくりはトヨタ独自の斬新(ざんしん)なやり方で各所に工夫が見られる。最大の特長は下請けの利用であり,安くて故障の少ないと言われる車の大部分は,実は下請け工場が製造している。下請け工場がなければあの優秀な日本車を製造することはできない。トヨタは下請け企業が造ってきた部品を集めて,車の組立てを行っている工場なのである。
下請けシステム 
自動車の強さの秘密はたくさんあるが,その中でも特筆されるのは,トヨタに一生懸命協力してきた多くの下請け企業の存在は重要であろう。一次下請け205社,二次・三次下請け約8000社,更に小さな町工場まで加えると50000社の企業が,トヨタ自動車一社に寄り添って生きているのである。トヨタは主に愛知県内に工場を集中させて立地しているために下請け企業もこの地域に密集している,まさに企業城下町となっている。日本の自動車産業は自分の工場で部品を造るうち製化率は30%前後で,アメリカの自動車会社が70%という数字と比べると,その違いが著しいことがわかるであろう。その中でもトヨタは多くの下請けを利用した車づくりを行っているので,これらの下請けを巧みに利用するシステムが必要になったのである。ちなみに,下請けを利用する産業は日本の場合,自動車産業だけではなく,多くの製造業で見られるが,トヨタのように,地域的に限定して多くの中小企業が,集中しているのは数少ない。トヨタが他県や,外国への工場進出が遅れた理由はここにあって,これらの中小企業がいなければ車は造れないし,これだけ多くの中小企業が一緒に進出することは不可能である。
かんばん方式 下請け企業を利用して,モノづくりを行うことはどの産業でも
        やっていることではあるが,トヨタでも下請けに対して,より安く・より精密で故障のない製品を要求するのは。酷であろうか。トヨタは,工場敷地内に倉庫を持たない無在庫経営を推し進め,そのために,下請け企業の製造した部品の工場内搬送は最新注意と計画で行われている。在庫がないということは,財務上大変有利である反面,下請け企業の部品搬入が遅れた場合,工場の生産そのものがストップしてしまう危険性をはらんでいる。そこで採用された下請け部品企業の工場内搬入システムが,JIT(just in time)である。


JIT
 JITは必要なとき,必要なものを,必要なだけ,必要としている場所へ部品を搬送するシステムで,特に搬送する時間の遅れは絶対に許されないので,事故や渋滞などを見越して,しばしば部品を満載したトラックが,トヨタの工場の周辺で,時間待ちをしている光景に出会うことがある。下請け企業は親会社から,注文を受けると慎重に製造しロット番号を確認し注文どおりの製品を確実に納入しなければならない。この部品の入っている箱に添付されているコンピュータで作成された注文書を「かんばん」と呼び「看板」と区別している。部品の欠陥品比率は大変に低く,数十万分の一といわれ,欠陥品があった場合,その原因を徹底 このようなトヨタ自動車が考え出した故障の起こらないような,モノづくりのシステムをトヨタ・システムと呼び他の製造業に波及してきた。現在では世界中の製造業からも注目され,トヨタ・システムを学ぶ企業も多いが,一方で厳しすぎる管理に対する批判も多い。
ムダの排除
 トヨタ・システムはQC活動を通じて徹底的にムダをなくしていこうという考え方で、下請けを含めた生産現場のあらゆる段階でムダ探しを行い、ムダ排除のための新しいアイディアを提唱した者には表彰が行われる経営スタイルである。
 トヨタが特にこだわるムダは以下の7つのムダといわれるものである。①加工のムダ、②在庫のムダ、③作りすぎのムダ、④手待ちのムダ、⑤動作のムダ、⑥運搬のムダ、⑦不良品のムダである。
トヨタシステムは万全なのか
 1984年にトヨタとGMは共同でNUMMIというカリフォルニア州に自動車会社を設立し、トヨタのかんばん方式など日本独特の製造工程をGMに伝授したことがある。20年近く経営されてきたが、その役割も終えて、解散してしまった。その間にGMはトヨタの車づくりについて十分に理解し、そのうえでトヨタシステムは細かいムダを排除するには最良のシステムだが、自動車会社全体に関わる大きなムダについては、見逃してしまうのではないかと考えていた。そしてGMはトヨタシステムを改善した、リーン生産方式を立ち上げることになった。ちなみに、NUMMIの工場は、その後テスラ・モーターが引き継いだ。

2019年5月7日火曜日

組織管理とは何か


組織管理とは何か

組織研究を最初に始めたのはM・ウェーバである。ウェーバは最良な組織形態

を官僚組織に求め、非人格的で無機質な形態こそ優れていると考えていた。

近代企業の成立によって組織の重要性が認識され、より効率的な組織のあり方

が求められるようになると、組織は個人と集団の関わり合いの中で機能することが

わかってきた。そのため組織を維持、管理し統率する場合、組織の目的や価値観など

文化的な要素や人間の行動様式についても研究されるようになり、より総合的な

学問分野に拡がってきた。

 P.Fドラッカーの理論では、組織とは人間が持っている能力を発揮して、目的を達成するための手段と捉え、それを効率的に実現するためにはマネジメントが必要であると述べている。前半の講義ではドラッカーの視点に立って組織とは何か、そして組織と人間の関係について考察する。さらに後半ではグローバル化によって変わりつつある日本の組織について検討する。

 

 

 組織管理とは    

人が集まれば組織ができる。その組織をどのように維持、統率するのか研究するのが組織管理学である。 組織にはその目的によって、いくつか種類があり特に大震災後、非営利組織に対して注目が集まっている。

   国家組織                                組織

   行政組織          非政府組織 

  企業組織          クラブ・サークル組織   

       

 

組織の目的 

組織にはそれぞれの目的がある

目的達成のために最良の組織を構築する

ドラッカー・・・・組織は目的を達成するための手段

目的を達成するためにはネジメントが必要

 

社会貢献 

組織は社会のためになるものでなければならない。

 組織の目的は、組織の構成員に共有されなければならない。 

  ドラッカー・・・組織は社会貢献を目的としなければならない  

 

 集権管理組織  

ライン組織            ラインスタッフ組織



 



ピラミッド型(軍隊型)          改良型(トップにスタッフがつく)

         

 



短所

トップの負担過剰

専門家の知識を活用しにくい

階層が多くなるとコミュニケーションの効率が低下

 

      長所          

職務の範囲、内容が明確

指示命令系統が明確

各職位の責任・権限が明確

組織間の秩序を維持しやすい

 

 

ライン組織・ラインスタッフ組織は、最上位(社長)から最下位(社員)まで指示命令系統が1つのラインで結ばれる。組織メンバーは直属の上司からのみ命令され、1人の上司と複数の部下で構成される。

 職能別組織 

 

 

職能別組織の特徴は、誰がどのような仕事をするのか役割分担を明確にでき、従業員の専門性を高めることが出来る。一方、組織間の連携が難しく組織全体の利益より、部門の利益を優先してしまうデメリットもある。

 

分権管理組織 

 事業部制組織



 


              
事業部制は、事業運営に関する責任・権限を本社部門が事業部に委譲することで本社部門の経営負担を軽減するとともに、各事業の状況に応じた的確で迅速な意思決定を促進しようと考え組織された。1920年代にアメリカで考え出されたこの組織は、現在でも世界の多くの大企業で採用され、日本でも1960年代以降、多くの企業がこの形態である。

トップの経営負担を軽減するとともに、各事業の状況に応じた的確で迅速な意思決定を促進しようと考え組織された。1920年代にアメリカで考え出されたこの組織は、現在でも世界の多くの大企業で採用され、日本でも1960年代以降、多くの企業がこの形態である。

 

事業部制組織(分権管理)のメリット

1 権限委譲により、市場の変化を的確に踏まえた迅速な意思決定が期待できる。

2 事業部ごとに損益計算書を作成するため、事業別の利益責任が明確になり、業績向上に向けたインセンティブが働きやすい。

3 本社部門の事業運営に関する負担が軽減され、本社部門がより全社的、戦略的な事項に集中できる。

4 事業部長に経営者としての経験を積ませることができる。

 

事業部制のデメリット        

1 各事業部が経営機能を重複して持つため、経営資源面の無駄が生じる。

 組織の壁により、事業部をまたがる新商品、新サービスが生まれにくくなる。

 

 プロジェクト組織 

 


 

 

 

プロジェクトチーム組織 

常態の組織を持たず、案件毎にチームを組成する組織。経営コンサルティング会社や投資銀行など顧客案件毎に変化に富んだ非定型のビジネスにおいてみられる。ヒエラルキー型組織、マトリクス型組織において作られる組織横断的なプロジェクトチームもこの一例。最近では小惑星探査機である「はやぶさ」のプロジェクトチームなどが注目を集めた。こうしたプロジェクトを管理する「プロジェクト・マネジャー」の人的資源開発も急を要する課題である。