2019年11月26日火曜日

通貨とフィンテック

日本の通貨発行額・・・110兆円 
マネタリーベース  ・・・・517兆円(通貨+日銀預金額)異次元緩和の結果急増した
2013年4月日銀は量的緩和を行った。(400兆円の通貨を増やした)

 世界の通貨流通額   (位:10億USドル)
日本  1,068.20
中国   606.59
ロシア  190.06
イギリス  85.11
アメリカ  982.72
 出所)国際決済銀行(BIS)Statistics on payment,clearing and settlement systems in the CPSS countriesFigures for 2010-preliminary release

紙幣の歴史
紙幣の発行は日本銀行券と書いてあるように日本銀行が発行していて、その製造は国立印刷局である。貨幣の発行は日本国と刻印されているように日本政府で、造幣局で造られる 。
明治以降、発行された紙幣、通貨は基本的に今も使える。関東大震災で発行された紙幣、新円切り替えで発行された紙幣、1円未満の紙幣は使えない。

日本最初の紙幣
現在のように、日本銀行が「日本銀行券」として正式なお札として発行するようになったのは、明治18年)のことで、それ以前は初めて発行されたのは拾円券、商売の神様とされる大黒天の絵が描かれていることから「大黒札」とも呼ばれていた。

江戸時代のお金
金貨・銀貨・銭が流通していた。金貨の1両は4分で1分は4朱であった。銭は4000文で1両である。藩札は、江戸時代に各藩が独自に領内に発行した紙幣で、基本的に兌換紙幣で、貨幣(金貨・銀貨)と交換すると書いてある。

日本最初の銀行は第一国立銀行
明治初期、日本の貨幣制度は混乱していて、銀好きの日本では銀が高く金が安かったので、金が流出し、メキシコ銀などが国内に入ってきた。これらの外国通貨は重さで価格が決められた。このころ、初版が発行した藩札や、政府が発行した太政官札など兌換紙幣や不換紙幣が入り混じっていた。政府はこれを統一するために民間銀行を設立させ、紙幣を発行させることにした。
日本で最初に設立した第一国立銀行の渋沢栄一は、日韓併合直前の大韓帝国に進出し、数年間だけ同行が発行した紙幣の肖像になったことがある。その後、紙幣発行権を持つナンバー銀行の設立が相次ぎ国内の通貨が安定するのは日清戦争後で、賠償金を金で受け取り、それを元に金本位制を確立した。

新しい経済政策
現在の先進国における経済政策は、通貨の供給量を増やし投資を拡大してその利益を手に入れるやり方である。高度に管理された先進国の経済は、通貨の発行量を増やしてもインフレにはならない。そこで通貨供給量を従来の2倍に増やして企業に回るお金を増やした。それは企業が大きな利益を手に入れるのと同時に富裕層を増やした一方、新興国はこの資金を利用して経済成長を実現しようとしているが、先進国の資金に頼ることで不安定な経済になっている。したがって先進国において通貨の管理は今まで以上に重要になった。

キャッシュレス化
現在、キャッシュレス決済の手段としては、以下の三つが存在している。
(1)プリペイド(先払い)
(2)ポストペイ、クレジットカード(後払い)
(3)リアルタイムペイ(リアルタイム決済)・・・現在模索されている支払方法
クレジットカードや電子マネーなど、キャッシュレス決済の比率だけを見ると、'15年のデータでは韓国は89.1%、中国は60%、イギリスは54.9%、アメリカは45%。だが日本は18.4%と、主要国に比べても格段に低く、2025年までに40%に引き上げる予定。今年の10月に行われる消費税の引き上げが、そのきっかけになる。キャッシュレス化を条件に減税を考えている。

中国のアリペイは、店舗側がタブレットや看板でQRコードを提示し、顧客がスマホ決済アプリでそれを読み取ることで支払いを完了させるシステムを開発したが、現在大都市では、顔認証が使われるようになった。中国の顔認証は個人情報など基礎的な問題があるので日本では使われない。日本でも楽天ペイ、PayPay、LINE Pay等がQRコード決済を採用している。スマホにバーコードを表示させ、店舗側が既存のレジのバーコードリーダーからバーコードを読み取ることで決済を完了させることができる。

フィンテック Fin Tech
フィンテックとは「Finance(金融)」と「technology(技術)」を組み合わせた造語で、情報通信技術を活用した革新的なサービスなどの総称をフィンテックと呼んでいる。フィンテックで、代表例としては仮想通貨がある。フィンテックが発展していくことによるメリットは金融機関を介さないことによるスピードと、人の手がかからないことによる手数料などの安さ、手間がかからない便利さといったことがある
フィンテックの技術は、既存の通貨にも応用されはじめ、日本でも三菱UFAはじめ多くの金融機関で研究が始まっている。AIの発展とフィンテック技術の向上は、巨大なデータを利用し新しいビジネスに繋げようと考えている。つまり銀行のライバルは、GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)なのである。
いずれにしても、フィンテックの発達は今まで私たちが行ってきた経済活動を大きく変えてしまう。

仮想通貨
 フィンテックの中でも最も代表的なものと言えるのが、仮想通貨である。銀行などの金融機関を介さない個人間での送金が可能で、送金までのスピードの速さや手数料の低さなどの利便性から注目を集めている。仮想通貨の中で最も有名なのがビットコインである。

ビットコイン
 ビットコインはサトシ・ナカモトと名乗る人物によって投稿された論文に基づき、2009年に運用が開始された。ビットコインシステムは、コンピューターネットワークにより運営され、トランザクション(ビットコインの所有権移転: 取引)は仲介者なしでユーザ間において直接に行われる。このトランザクションはネットワークに参加しているノードによって検証され、ブロックチェーンと呼ばれる公開分散元帳に記録されていく。トランザクションでは通貨単位としてビットコイン が使用される。このシステムは中央格納サーバや単一の管理者を置かずに運営されるので、アメリカ合衆国財務省はビットコインを分散化された仮想通貨というカテゴリーに分類している。ビットコインは最初の暗号通貨とも言われ、その影響力は極めて大きい。
 ビットコインは株式同様に購入することができるが、現在価格は70万円程度で価格の変動が大きく、いまだ不安定な状況である。ビットコインの最小単位は0.00000001satosi(1億分の1)である。

日本の銀行のフィンテックの取り組みは消極的
昨年から日本の大手銀行は一万人規模の人員削減を行っている。キャッシュレス化やフィンテック技術の浸透で銀行の仕事はなくなりつつある。現在銀行はキャッシュレス化やフィンテック技術の導入を抑えようとしている。しかし、将来的に銀行は事業スタイルの見直し(新分野への進出)やフィンテック技術の向上で主導権を取ろうとしている。

2019年11月19日火曜日

企業危機管理の基本


 危機管理とは、普段から起こるかもしれない事態を想定して、事前に準備することである。危機管理には起こる前に(起こらないように)準備しておくこと(リスクマネジメント)と、起こってしまった場合(クライシスマネジメント)にどのように対処して被害を出来るだけ小さく済むようにすることである。かつて危機管理と言うと、クライシスマネジメント(Crisis management)とリスクマネジメント(Risk management)の両者の意味を含む場合が多く、両者が分離したのは最近のことである。

災害の多発と危機管理
 危機管理は、米ソ対立時代、国際的な戦争や紛争といった事態への対応、必要性が認識され、日本においては、1995年の阪神大震災や台風や津波など自然災害への対応、そして企業における事件・自己への対応、学校や病院などにおける安全確保など、様々な分野において適用され、活用されるようになった。

危機管理の重要性
 危機が発生する対象が国際社会であろうと、企業や学校であろうと、そして危機の内容が、人災であろうと、天災であろうと、危機管理の基本は同じで、一つ目は危機を予防し、回避させることである@。天災など予防できない危機に対しては、事態に備えた準備も必要です。二つ目は危機による被害を最小限にとどめることである。日頃から、危機発生時にどのように対応するか、意識することが大切です。そして三つ目は再発防止です。危機発生時の対応に問題があった場合は、新たな対策を練ることが大切である。

危機の種類
内部的要因〉
経営に関する内部告発・・・・(告発者の特定が妨げになっている)
会計不正・・・・・・・・・・(コンプライアンスとディスクロイジャー)
ハラスメント・・・・・・・・(撲滅と啓蒙)
労働時間管理違反・・・・・・(今までの常識は古い)
不良商品・・・・・・・・・・(チェック体制の強化)

外部要因〉
災害・・・・・・・・・・・・(予測 想定 避けられないかも)
火災・・・・・・・・・・・・(予測想定で避けられる)
顧客対応・・・・・・・・・・(クレーム処理)
マスコミ対策・・・・・・・・(マスコミを敵にしたら企業は崩壊する)

経営者危機管理能力が重要
 ステークホルダー(会社の利害関係者)にも危機管理について理解し、共に考えてもらう。特に内部告発者への対応は重要な意味がある。つまり、内部通報者がいないと、会社において行われてきた不正を見逃すことになる。平成16年には内部告発者保護法が成立し、内部告発者を守ることで、企業の不正をただすようにしようと考えているのだが、実際は内部告発者の「その後」は悲惨な状況であることは依然と同じである。
 日産自動車の騒動においては、コーポレートガバナンス(企業統治)の重要性が議論されたが、ここでも利害関係者間の意見の不一致が事態の解決を送らしている。日産事件を防ぐためには企業会計の公明さが必要なのであるが、日本では会計におけるディスクロイジャーやコンプライアンス(順法)意識が低いのではないだろうか。

事例
雪印事件
 雪印集団食中毒事件とは、雪印乳業の食中毒事件と、その後に発生した子会社の雪印食品による牛肉偽装事件のことである。20006月から7月にかけて、近畿地方を中心に発生した、雪印乳業(現:雪印メグミルク)の乳製品(主に低脂肪乳)による集団食中毒事件は、電気系統の故障から、製品が長時間温められて細菌が繁殖し、多くの被害者が出たにも関わらず、これを公表せず嘘の報告で隠蔽し、事態を悪化させたことである。現場の責任者はその後、叱責を恐れていたと供述している。
その間に被害者は、14,780人に及んだ。問題を起こした大阪工場は、期限の操業停止を命じられ、操業再開されることはなく、20013月末に閉鎖された。
事態を悪化させた社長の会見 
 記者会見の延長を求める記者に「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ!!」と発言。一方の報道陣からは記者の一部が「こっちだって寝てないですよ! そんなこと言ったら! 10ヶ月の子供が病院行ってるんですよ!」と猛反発。この会話がマスメディアで広く配信されたことから、世論の指弾を浴びることとなり、そのまま社長を辞任した。




雪印食品事件
 1996年にイギリスが、クロイツフェルト・ヤコブ病感染者のうち10名の発症原因がBSEに感染した牛肉である可能性が高いという見解を明らかにした。2001年に日本産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)感染が発覚し、農水省は国産牛肉買い取り事業を開始。同事業を悪用し、外国産牛肉を国内産と偽ってパッケージを詰め替え、オーストラリア産牛肉30tを含む、約280tの外国産牛肉を国産牛肉として不正請求したのが雪印食品関西ミートセンターであった。
 事件の背景には外国産牛肉が安価で、日本産は高価であるという価格差問題があった。このため買い取り事業において、日本産牛肉の買い取り価格より、外国産牛肉の購入価格の方が安いという内外価格差が生じた。これに目をつけ外国産牛肉を日本産と偽ることにより、外国産牛肉の購入価格と日本産牛肉の買い取り価格の価格差から来る莫大な利得(税金由来の補助金の騙し取り)を見込んでの犯罪であった。
内部告発
 2002年、雪印食品と取引があった冷蔵会社・西宮冷蔵の経営者による内部告発によって発覚した。これにより、雪印食品の社長が即刻辞任、同時に食肉部門からの撤退を発表、詐欺罪容疑で農林水産省近畿農政局が告発、兵庫県警察本部などの合同捜査本部が雪印食品本社や関西ミートを捜索し、その結果、会社は解散し、多くの従業員も失業した。

雪印の創業者について
黒澤酉蔵
 1885(明治18)年茨城県久慈郡世矢村(現常陸太田市)に生まれる。14歳で東京で働き、16歳で足尾鉱毒事件で闘う田中正造と出会い、共に行動したが逮捕され6か月間留置場で暮らした。その後、 宇都宮牧場の宇都宮仙太郎氏から酪農の手ほどきを受け、20歳で北海道に渡り、北海道に酪農を広めた。北海道畜牛研究会を結成し、生乳が余って酪農家たちが危機に立たされた時には、酪農家自らが製品をつくって売る北海道製酪販売組合(雪印乳業)を立ち上げ、1933(昭和8)年に酪農学園大学の前身である北海道酪農義塾を開校した。
 足尾鉱毒事件で谷中村の農民は、栃木県から那須高原へ強制移住させられた。彼らは米作り以外、経験がなく、当時の那須では米作りが出来なかった。この惨状を救ったのも黒澤酉蔵で、彼らに酪農を指導した。

2019年11月12日火曜日

起業の方法

設立計画

何を始めるのか
自分の好きな組織を創る
 目的は・・・自分の金儲け・・・・・協力してくれる人は少ない
        人に喜ばれること・・・協力者が得られる

誰と
 協力者がいると成功率が高まる・・・家族の協力は大切
 どのような役割分担するのか・・・・・・それぞれの強みを生かす
 自分に出来ないことは出来る人に依頼する・・・税理士・社会保険労務士
どこで
 業種によって異なるが自社の市場に合わせて設立する。オフィスの選定
どのように
 資金計画、資本金、運転資金の準備・・・500万円程準備する
 販売先の確保
マーケティング・リサーチ
 顧客のニーズや市場の大きさ、所得、競合会社、価格設定、
 現実的に何ができるのか考え、時間をかけて調べる
 仕入れ先と仕入れ価格を決める

設立
 個人企業なのか、法人企業なのか決める
 法人企業
法務局で登記する…定款(何を行う会社か書類にする)
登録免許税(資本金の0.7%・最低15万円)全体25万円ほど必要
会社名、資本金、代表者名

税務所に届ける・・・株主名簿、設立趣意書、設立時貸借対照表 など
口座の開設・・・・・当座預金…利息は付かない
補助金、助成金を受ける
できるだけ借り入れはしない

 準備
事務用品、印鑑、ロゴ、名刺、パソコン、ホームページ、挨拶状、DM等を作成する

戦略の設定

目標設定と組織づくり、役割、仕事の手順、企業イメージ、企業カラー、毎日の仕事量、
人材の確保・・・最初は小さく、次第に拡大
顧客を喜ばせる、固定客を創る 

日常業務
仕入れ(在庫は少なく)販売、集金、支払いの円滑化。
  雇用は慎重に・・・雇用したら社会保険労務士に相談(社会保険に加入)
記帳は正確に、毎日行う。
資金の流れは毎日確認する
会社の口座に現金はいくらあるのか。
 いつどこから、どのくらい収入があるのか。
 いつどこへ、どのくらい支払いがあるのか。

企業の資金調達        

企業の資産、負債、損益、キャッシュフローの管理は、会社を維持していく上で最も大切な仕事である。資金の調達、および調達した資金の運用は、大企業では「財務部」が担当し、資金が不足しないように資金繰りを考えなければいけない。経理部が作成した決算書をもとに、財務部が資金調達の仕事を進めている。企業は商品の購入は掛買いが一般的で、支払いは毎月決まった日に支払うことになっている。その時に資金が不足したら最悪の場合、企業倒産ということになる。



金融システム安定性の視点

 例えば、一社が経営破綻して支払うべき負債を支払うことができなかった場合、取引相手の会社も資金繰りにゆき詰まって連鎖倒産が起こる場合がある。そのようなことが起こらないように、取引相手は相手の事情も考えながらお互いに助け合いながら経営していくことが求められる。掛買い、掛け売りも取引相手が1か月ほど支払いを猶予することで、その間に商品を売却し支払うべき資金を得るための期間でもある。もしこのような猶予がなかったならば、大量の商品を仕入れることは出来ないし、支払いも不可能になる。



企業の資金調達手段

株式会社の資金調達形態として、負債(dept)と株主資本(equity)の2つがある。負債は銀行などからの借り入れや、掛買いで購入した商品の支払相手に支払うべき金額などである。負債は必ず決まった日に支払いを行わなければならない。銀行からの借り入れは返済計画を慎重に考えることが必要である。

株主資本は、資本金、法定準備金、剰余金(内部留保)を含み、 これは負債ではなく自己資本ということになる。つまり、新たに株式を発行して、株を売却し資金を得る方法である。ここで注意しなければならないことは、株式の大量発行は株価を下げることになるのでそれに伴うマイナス面も考慮する必要がある。資金調達は借り入れるのか株式などを発行して資金を得るのか、それにかかる税金や経営戦略によって最適な方法を考えなければならない。

その他、企業は事業ごとに公的機関から補助金や運営資金を低利で借りることができる。中小企業の場合、中小企業経営力強化資金から、融資を受けることができる融資制度がある。中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関(商工会や商工会議所、金融機関、税理士など)で指導や助言を受けている事業者が融資対象になるのでこうした情報を集めておくことが重用である。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年です。金利も12%で、2,000万円以内であれば、無担保・無保証人で融資を受けることが可能である。



クラウドファンディング

 ネットで資金を調達するシステムをクラウドファンディングという。群衆(Crowd)と資金調達(Funding)という言葉を組み合わせた言葉で、近年ネットで自分のやりたいことや、資金調達の必要性を訴えると、共感した人が少額ずつ資金を出し合い、こうした資金を利用することができるようになってきた。そして出資を受けた側は、資金提供者に対しての見返り(リターン)を提供することになる。クラウドファンディングは、この見返りの形態によって大別され、金銭的リターンのない「寄付型」、ファンドなどと同じように金銭的リターンを伴う「金融型」、資金提供によって制作された製品や体験などの権利をリターンとして提供する「購入型」の3つに区分される。クラウドファンディングで資金調達をする際には、主にクラウドファンディングサイトを利用して実施をすることになる。クラウドファンディングサイトによって得意としている分野が異なったり、集まる金額が変わってきたりするのでクラウドファンディングサイト選びは慎重に行わなければならない。

クラウドファンディングの流れとしては、まずプロジェクトの申請を行って審査を受け、審査が無事に通過したら、自分のプロジェクトを掲載するためのプロジェクトページを作成し公開する。公開後は、TwitterなどSNSを利用して発信することで、より露出度が上がり目標金額到達までのスピードが早まる。そして資金が集まったところでプロジェクトを実行へ移し、リターンがある場合には出資者へリターンをすることでクラウドファンディングプロジェクトの完了となる。クラウドファンディングは、自分の事業などに共感してくれた人から資金を募るので、比較的リスクが低く、現在のインターネット時代にマッチした資金調達方法で今後資金調達方法として大きな期待が寄せられている。



ベンチャーキャピタルによる資金調達

ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業など未上場の企業へ投資をし、その投資した企業を上場させたり市場価値を高めて他のファンドに売却したりすることによって利益を得る投資会社のこと。その性質上、将来的に株式公開を目指す会社や成長率の高い会社が主な投資先となる。投資会社が直接企業に投資する場合と、ファンド(投資事業有限責任組合)を作り、出資者を募ったうえでその出資金を投資する場合がある。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットは、資金調達が容易になることと、経営支援を受けることができるという点です。ベンチャーキャピタルから出資を受けるということは、それだけで対外的な信用力が高くなり、金融機関などから融資を受ける際や、出資を募る際に資金調達がしやすくなるというメリットがある。さらに、株式公開をして上場を果たした場合にはさらに資金調達が容易になる。また、ベンチャーキャピタルから出資を受けると、役員などの派遣があるため、直接的な経営支援を受けることができ、経験豊富な役員が経営に関与することで、より早く事業を軌道に乗せることが可能となる。

しかし、ベンチャーキャピタルから出資を受けることにはデメリットも存在します。そのデメリットが、経営の自由度が制限されることと、突然資金回収をされるリスクがあるということである。ベンチャーキャピタルから出資を受ける際のメリットでもある役員の派遣は、役員が経営に関わることで、その意向に沿わなくなくてはならなくなってしまう。そのため、経営者が目指す方向性と乖離し、派遣された役員と従来の経営陣が対立するということが起こりうる。また、ベンチャーキャピタルはその企業の成長を見込んで出資を行うので、成長性が縮小するリスクがあり、事業に対する魅力がなくなってしまったりすると資金の回収を行うことがあり、そのような場合、事業の資金繰りが著しく悪化する恐れがあるため注意が必要である。



国際金融と日本企業の資本調達

近年、金融の自由化と国際化の流れのなか、大企業を中心に資金調達手段が多様化している。最大の変化は、社債やCP(コマーシャル・ペーパー)の発行といった、市場から直接資金調達する直接金融の手段が増加したことである。

今日のグローバルな市場の取引では、銀行だけではなく、機関投資家(ヘッジファンド)が大きな役割を果たしている。現代企業の経済活動において、投資は大きな利益になるため、資金に余裕のある企業や個人は資産を増やすために投資を行っている。このような投資活動は企業だけではなく銀行、政府なども行っている。



新規事業の立ち上げ

新規事業は日本政策金融公庫の創業融資など、公的金融機関から無担保、無保証で資金融資を受けることができる。ある意味で銀行から資金を借り入れる困難さを考えた場合、新たに新企業を立ち上げた方がよい場合がある。融資限度額は、7,200万円(運転資金としての限度額は、4,800万円)で、返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年。金利は保証人や担保の状況によって異なるが、12%と低金利である。

2019年11月4日月曜日

人的資源管理(HRM)

人的資源管理とは労働者である人間を、組織の目標に合わせてマネジメントすることである。かつて労務管理はブルーカラー労働者、ホワイトカラーは人事管理と言っていたが、労働構造の構造変化に伴い変化し、現在はhuman resource management(HRM人的資源管理)というようになった。労働者の管理を働く人間の視点で管理するのは日本的経営の神髄で最も得意とする分野である。実は日本的経営が欧米に伝えられ、それが改良されて戻ってきたのがHRMなのである。


人間としての労働者
私はヒト・カネ・モノという表現に抵抗がある。人をカネやモノと一緒にした経営など尊敬できないからである。あらゆる管理において人間は特別な存在で、意思を持った労働者が企業の目標に合わせて、その能力を最大限発揮することを求められる。しかし人間は、自身が納得しないとその能力を十分に発揮しない存在でもある。企業はどのようにしたら、労働者の能力を十分に利用できるのか考えることが、人的資源管理のめざすべき方向である。そこでQWL(quality of working Life)つまり労働生活の質が見直され、人間らしい働き方について模索されるようになった。

現在、グローバル企業や株主優先とする経営を行っている企業において、労働者をコストと見立て、出来るだけコスト削減を図る経営者が見受けられるが、彼らの目指している方向は明らかに誤っている。何のための経営なのか、社会のためではなく株主のために機能し、人々を幸福にすることが出来ない企業など存在する価値すらない。経営者が企業の経営理念や経営哲学に沿って、資源としての労働者をどのように理解し、どのように扱うのか問われている。人的資源管理には、こうした視点が欠落していては意味がないし、多くの人々が注目している。

人的資源管理の要素
 HRMの要素には、採用・能力・動機づけ・教育・評価・成果・報酬などがある。しかし、これは会社側からのアプローチで、労働者は同じ仕事に対して自らマネジメントする能力を兼ね備えている。そのために必要な要素は、社会参加意識・やりがい・向上心・社会的地位・信頼・充実感・生活設計などである。企業はこうした個人の仕事に対する取り組み方についても考慮し、AI時代のマネジメントについて新しい方向性を打ち出すことが求められている。。

人的資源管理の事例
 マイクロソフト社の場合、採用する人材は特に優れた人材のみを対象とし、その候補者の中から厳選してスカウトする。条件は誰でも入社したいと考えるだけ十分に魅力的であるが実際採用されるのは数%と言われている。入社後は激しい競争が行われ、優秀であれば若くして重要な地位につく。(三輪卓巳稿「IT技術者の人的資源管理の事例分析」

 トヨタの場合、効率的で大規模に行われている品質管理運動であるトヨタシステムの中の一部としてHRMが行われてきた。トヨタの成功は現場で働く労働者が、テイアン・カイゼンといった自主的な活動によって支えられてきた。現在でもQC活動を通じて、熱心に生産性向上のために新しいトヨタシステムの改善を行っている。

人的資源管理の課題
 近年、QC活動を廃止する企業や職場が増えてきた。無意味な提案や改善によって時間の無駄と言われ、次第に活動は停滞していった。職場環境が変わり、短期間の非正規雇用者が増え、給与も時間給が増加し、労働時間に含まれないQC活動など参加したくないのは当然である。今後、日本のHRMを育てるためには今までとは異なった方法が必要になっている。

日本的経営については、封建遺制として否定的な見解も見られた反面、高度成長期には積極的に支持する意見も多くみられ、日本的特質として最近まで残存してきた。問題は受け皿もないまま経営の根幹である長期雇用や労働者大切にしてきた制度を破壊し、多くの労働者の犠牲と社会的な不安をもたらしたことである。1990年から2000年までの自殺者数は毎年3万人を超え1、特に働き盛の中高年の自殺者が激増した。本来なら、労働組合が労働者の権利や働き口を守るべき存在なのに、日本的な企業別労働組合は、会社組織と癒着し、労働者を守る組織にはなりえなかった。

終身雇用と年功制については中小企業などでは、すでに以前から崩壊していたが、グローバル企業においても永年維持されてきた終身雇用制度が維持できなくなり2000年に正規雇用者3630万人、非正規雇用1273万人だったものが、2018年正規雇用者数3476万人、非正規雇用者2120万人と非正規雇用者数は激増した。2 グローバル資本は、いつでも解雇できるシステム を導入し、終身雇用者も限定正社員に組み換え、労働者の不安が増すことになった。アメリカ的でグローバルな雇用制度を、日本の企業に都合の良い部分だけを受け入れた結果、全体の一貫性が無くなり不安定な形態になってしまった。 「働き方改革」はこうした日本的経営の破壊を正当化するために登場したもので、当初から労働者のためになるようなものではなかった。求められるのは、労働者や環境を大切にする新しい日本の経営制度を構築することである。

1 厚生労働省「自殺者数の年次推移」平成30年、2ページ。

2 厚生労働省「労働経済の推移と特徴」2018年、26ページ。

産業構造の転換と『すでに起こった未来』

su
産業構造の転換と
すでに起こった未来
             P.F.ドラッカー
          谷崎 敏昭
シュンペータを通してドラッカーを知る
ドラッカーはシュンペータの後継者

ドラッカーはシュンペータ理論を補完している
 

シュンペーターとドラッカー
ドラッカーの父親とシュンペーターは友人
幼い頃、自宅にシュムペータペータが訪問

J.A.シュンペーター
1883年 オーストリア生まれ
1906年 ウイーン大学法学博士
1909年 P.F.ドラッカー生誕
1912年 グラーツ大学教授
1912年 経済発展の理論
1918年 オーストリア帝国崩壊
1919年 オーストリア共和国大蔵大臣
1921年 ビーダーマン銀行頭取
1925年 ボン大学教授 (東畑精一、中山伊知郎留学)
1927年 ハーバード大学客員教授
1931年 来日
1932年 アメリカへ移住
1938年 オーストリアがドイツに併合される
1942年 資本主義・社会主義・民主主義
1950年 没

シュンペーターの研究姿勢
    J.A.シュンペーターは二人を意識
K .Hマルクス1818〜1883
亡くなった年に生まれ

.Mケインズ1883〜1946
同じ年に生まれた
人間は経済に対して無力である
  
  シュンペーターは、1934年に、拡張的な
金融政策によって大恐慌を押さえつけよう
とする試みは、結局のところそれが救済
すべき不況よりももっとひどい経済破綻を
もたらすことになると警告した。
シュムペーターのイノベーション論
企業者が行う新結合の遂行(イノベーション)
 
 1)新しい製品の創出
 2)新しい生産方法の導入
3)新しい販売市場の開拓
4)新しい買い付け先の開拓
5)独占の形成あるいは独占の打破
ドラッカーと日本
ドラッカーがイギリスに亡命中、ロンドンの
美術館で日本画に出会う。

1955年来日・・・・日本の復興と発展を確信
以後、毎年来日し、多くの経営者と面談

本文化を研究
日本は日本を捨てずに西欧化に成功
日本的学び方を称賛
独特な美的感性
ドラッカーのイノベーション論
イノベーションの機会
1 予期せざるもの
2 調和せざるもの
3 プロセスニーズ
4 産業と市場の構造変化
5 人口構成の変化
6 認識の変化
7 新しい知識の獲得
柳井正の経営論
私はドラッカーの述べた
ことをそのまま事業化した
 柳井正
企業者とは
企業者とはイノベーションの担い手
経営者であってもイノベーションを
行わなければ企業者とは言わない
経営者でなくてもイノベーションを
行う者は企業者である
資本主義崩壊論
シュンペータ
「資本主義は成功するが故に崩壊する」
マルクス
「資本主義は、内部の矛盾(格差)が拡大し、
 社会主義革命が起こり崩壊する」

ドラッカー
「現代は、すでにポスト資本主義社会である。」
ドラッカーの資本主義論    
資本主義に興味は無い。
興味があるのは自由主義
革命思想は間違えている。
イノベーションが必要
ポスト資本主義
  すでに資本主義は形を変えてしまった
  資本主義社会から知識社会へ


社会の解体
封建社会から資本主義社会へ
       
(農民)    富有農   資本家
封建主義    (二極化)        資本主義
         貧農    労働者 

時代の転換期には二極化が起こる(格差)  
資本主義からポスト資本主義へ
資本主義社会の解体

(労働者)  正社員・・・?
資本主義    (二極化)・・・  ポスト資本主義?         
        派遣社員・・? 

格差社会はその時代が終わったことを示す
創造的破壊
 イノベーションとは創造的破壊である

古いシステムを破壊し、
新しいシステムを創造する


現代社会のイノベーション
最大のイノベーションは情報化である
明治維新に匹敵するような改革が必要


    



グローバリゼーション
ドラッカーの視点
グローバル化は避けられない
日本的なものを捨てる必要はない

日本は西欧化に成功したが、日本的なものは捨てなかった
技術や品物は日本的にアレンジし日本に定着
させた。


グローバル金融の失敗
ドラッカーの視点

人類は経済をコントロール出来ない
アメリカが考えたグローバル化は失敗した


震災後の変化
政府、専門家、マスコミの言動を疑い始めた
  大勢の若者によるボランティア活動
  既成政党の無力化
  
全てを自分の目で見直す機運
本当に日本は豊かなのか
      本当に日本製品は安全なのか
  本当に外国製品は劣るのか
    政府の言うことは本当なのか

   
今までとは異なる社会の出現
     今の日本に必要なことは何か
      さらなるイノベーションしかない


すでに起こった未来
(資本主義的組織)
株式会社組織・・・経済を重視しすぎる

(ポスト資本主義的組織)
NPO組織・・・・・・・社会貢献、やりがい






すでに起こった未来