2018年10月2日火曜日

資本主義システムの本質と株式会社制度


経営管理総論B               2018.10.2

資本主義システムの本質と株式会社制度
  資本主義とは何か
 資本主義の前の社会を封建主義社会と言う階級社会で、生まれた時にすでに自分の社会的地位は決まっていて変更することは出来ない社会であった。経済的には物々交換を前提としていて、基本的にはお金を使うことはなかった。こうした社会が、ヨーロッパでは250~200年ほど前に市民革命で崩壊し、資本主義社会が生まれた。日本では市民革命は起こらなかったので、中途半端な半封建的資本主義社会が今から150年前に成立した。
 資本主義社会では産業資本家が中心となって近代企業を経営し、経済を発展させるシステムである。社会的には基本的にすべての人間は自由で平等であって、民主主義を前提とした社会である。近代企業は、多くの人々によって少しずつ資本(お金)を出して、集められたこれらの資本を利用して会社を設立、経営してより多くの資本(お金)を生み出すために設立される。資本を出した人々は額に応じた株券を受け取ることができる。彼らは出資者あるいは株主と呼ばれ、受け取った株券はいつでも自由に売買することができる。また出資者には企業が儲かったなら、配当金という利息を受け取ることになる。しかし儲からなければ配当金は配られないし、企業が倒産したら出資した資本は戻ってくることはなく、それは自己責任である。

  株式会社制度
 出資者から資金を出してもらって会社を経営する人を経営者(CEO)といい、巨大産業資本では専門経営者が株主の委託を受けて、会社が儲かるように経営を行う。そのために必要なものは労働者・資本・土地・情報である。経営者は資本で工場や機械を建設し、原材料を購入して機械で製品を製造する。この製品は売却されて、原材料購入費より大きなお金が手に入ることになる。これを繰り返して、会社は次第に大きく成長していく。この工程では製品の製造段階で新しい価値が生まれたことになる。一方、製品の売却のためには流通業や商人の手助けが必要になり、彼らの役割も重要である。しかし、商業は安く仕入れて高く販売することで利益を出すので、特に新しい価値を生み出すわけではなく、資本主義社会では産業資本家の役割の方がより重要視される。

資本主義システムの変化
 資本主義社会における企業経営は、先進国において基本的に民間資本によって行われるのが基本である。国が経営するより民間が経営した方が効率的である、という理由で先進国では、すべての国有企業を民営化し民間による経営に変更した。日本では三公社五現業と言われた国有企業(国有鉄道・電信電話公社・専売公社。 郵便・国有林野・印刷・造幣・アルコール専売)をすでに民営化した。
 しかし、近年発展途上国の多くは民間企業による企業経営ではなく、国家による企業経営が行われていて、そのことで先進国との間で摩擦が起こっている。特に中国の経済発展では、中国政府による国有企業が大きな役割をはたしているので、国有企業の見直しが議論されるようになってきた。同時にそれは自由で平等な民主主義国ではなくても経済発展は可能であると考えられ、資本主義制度そのものが揺らぎ始め、変質しはじめていることを意味している。経済が発展するのであれば資本主義でなくても良い、と考える人々が増加して資本主義システムを守ろうとしなくなってきた。

  現代資本主義の崩壊

 資本主義システムの定義については特に厳密な定義があるわけではなく、時代と共に変化してきたことや各国の歴史的特質もあって、比較的自由に定義されてきた。そのため、現代資本主義はまたしても大きな変化を遂げようとしている。あるいはもう、資本主義とは呼べないような社会になくかもしれないが、それでも資本主義を守るより社会の変化を求める人々が多いということである。
資本主義システムは外部からの要因で不安定となり、さらにグローバル化など内部からの力で、次第に崩壊しようとしている。特に格差社会の出現は、マルクスが予言した資本主義最後の形態とよく似ている。つまり一部の豊かな資本家と、大多数の貧しい国民という二つの階級が出現するという予言は、まさに現代社会を意味しているように思われる。このような状況がいつまでも続くわけがないし、今のままでは現代資本主義が崩壊してしまう可能性が高い。

 

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