2018年10月22日月曜日

人的資源管理


人的資源管理(HRM

人的資源管理とは

人的資源管理とは労働者である人間を、組織の目標に合わせてマネジメントすることである。かつて労務管理はブルーカラー労働者、ホワイトカラーは人事管理と言っていたが、労働構造の構造変化に伴い半化し続け、現在はhuman resource management(HRM人的資源管理)というようになった。労働者の管理を働く人間の視点で管理するのは日本的経営の神髄で最も得意とする分野である。実は日本的経営が欧米に伝えられ、それが改良されて戻ってきたのがHRMなのである。

人間としての労働者

私はヒト・カネ・モノという表現に抵抗がある。人をカネやモノと一緒にした経営など尊敬できないからである。あらゆる管理において人間は特別な存在で、意思を持った労働者が企業の目標に合わせて、その能力を最大限発揮することを求められる。しかし人間は、自身が納得しないとその能力を十分に発揮しない存在でもある。企業はどのようにしたら、労働者の能力を十分に利用できるのか、人的資源管理のめざすべき方向である。そこでQWL(quality of working Life)つまり労働生活の質が見直され、人間らしい働き方について模索されるようになった。

人的資源管理の要素

 HRMの要素には、採用・能力・動機づけ・教育・評価・成果・報酬などがある。しかし、これは会社側からのアプローチで、労働者は同じ仕事に対して自らマネジメントする能力を兼ね備えている。そのために必要な要素は、社会参加意識・やりがい・向上心・社会的地位・信頼・充実感・生活設計などである。企業はこうした個人の仕事に対する取り組み方についても考慮すべきである。

人的資源管理の事例

 マイクロソフト社の場合、採用する人材は特に優れた人材のみを対象とし、その候補者の中から厳選してスカウトする。条件は誰でも入社したいと考えるだけ十分に魅力的であるが実際採用されるのは数%と言われている。入社後は激しい競争が行われ、優秀であれば若くして重要な地位につく。(三輪卓巳稿「IT技術者の人的資源管理の事例分析」

 トヨタの場合、効率的で大規模に行われている品質管理運動であるトヨタシステムの中の一部としてHRMが行われてきた。トヨタの成功は現場で働く労働者が、テイアン・カイゼンといった自主的な活動によって支えられてきた。現在でもQC活動を通じて、熱心に生産性向上のために新しいトヨタシステムの改善を行っている。

人的資源管理の課題

 近年、QC活動を廃止する企業や職場が増えてきた。無意味な提案や改善によって時間の無駄と言われ、次第に停滞していった。職場環境が変わり、短期間の非正規雇用者が増え、給与も時間給が増加し、労働時間に含まれないQC活動など参加したくないのは当然である。今後、日本のHRMを育てるためには今までとは異なった方法が必要である。

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