2018年12月11日火曜日

メンタルヘルスマネジメント


 
   1998年バブルの崩壊後、不況が本格化すると日本人の自殺者は急速に増加し、年間3万人にも達し社会問題になった。それ以後2014年まで年間3万人以上の自殺者数は減少することはなかった。しかし、2015年以降、景気が回復してくると自殺者数は減少しはじめた。経済の停滞が、働く労働者に直接大きな負担となっている日本の現状については、見過ごすことができない大きな問題である。日本の自殺率が、労働者の責任とは無関係な、景気の動向に関わっているという事実は問題にしなければならない。さらに問題なのは日本の場合、若年層の自殺が世界で最も高いという事実である。
   ブラック企業といわれる労働者に過剰な責任を押し付ける企業についても同様である。企業で働く労働者がストレスを抱えているにも関わらず、彼らの精神的な負担は理解されにくく、こうした問題も自殺者数の増加と無縁ではない。ブラック企業の存在は、働く労働者だけではなく、学生のアルバイトにおいても深刻な問題を投げかけており、日本では労働者のストレスによる精神障害は労災として認定されにくく、ストレスによる休職者の半数が職場復帰できないほど深刻な状況で、職場においてストレスによる精神障害はいまだにしっかりと理解されていない。OECDは、日本はうつ病関連自殺により25.4億ドルの経済的損失をまねいていると推定している。

  ストレスチェック制度は、201512月から導入され、50人以上の従業員がいる職場で実施が義務化されている。その結果、321の企業・団体、合計72,311人分の集団分析データをもとに[ストレス要因]業種別ランキングが発表された。その結果、「建設」「卸売・小売」「金融」で仕事の負担感が高く、「郵便等」「公務」で低いことが判明し、職種によってストレスの多少があることが明らかになった。

  やりがい搾取という用語が話題になったのは10年ほど前のことで、大志を抱く若者に、夢の実現を叶えるような仕事を与え、過剰に働かせるというものである。若くして思いもかけず店長やリーダーに抜擢され、あるいは自分が最もやりたかった仕事を与えることで、彼らは喜んで一生懸命に仕事に励むことになる。彼らはやがて、低賃金で長時間労働させられていたことに気が付くが、激しい体力の消耗で罹患してしまう者も多い。

  従業員に自社製品を売りつけたり、ノルマと称して過剰に物品を販売させ、売れ残ったら自分で買い取らせるなどの行為を行っている企業も多く、以前大手コンビニエンスストアやファミリーレストランでアルバイトをしていた学生が、仕方なしに大学内でクリスマスケーキを売り歩いていたことがあった。呉「服チェーンに就職した卒業生が、先輩社員から高価な和服を売りつけられ、ローンの支払いに苦しんでいた者もいた。会社が夢の実現をお手伝いする」などの言葉には要注意である。
 
 厚生労働省は平成12年8月に労働安全衛生法の中に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定している。学校や職場で心の病に陥った時、だれもが不当な扱いを受けないように法律で守られている。決して泣き寝入りしないように。
 

 仕事でストレスを感じたら、うつ症状に注意し、自分で簡単なストレスチェックをしよう。
・朝起きられない ・仕事や学校に行きたくない
・笑顔がなくなった
・独り言を言うようになった
このような症状が出たら、軽いうつ状態である。職場を変えるか、病院に行くべきである。

  うつにならないように気を付けよう
・朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる
・鏡で表情チェック ・ネガティブな言動は慎む
・自分に良い環境をつくる ・自分がいやなことをやらない
・がまんしないで言いたいことは言う
・瞑想などで心身の状態を整える

  うつになったら
・頑張らない
・無理しない
・環境を変える
・必ず病院に行く

 

 

 

 

 














 





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