2018年12月4日火曜日

女性労働の問題について

 現在日本の20代男女の賃金格差はほとんどないのだが30代以降、女性が結婚、出産、育児によって職を離れることによって格差が広がり、50代男女の賃金格差は年間360万円もある。2017年、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数(男女格差を測る指数)」によると日本は144カ国中1142016年144カ国中111位)と先進国、途上国を合わせた順位でも極めて低い順位にある。

 これは、日本における女性労働についての慣習が、女性を労働の場から切り離してきたことと関係していて、女性は家庭を守り、子育て、育児、介護などを担当する役割と考えられてきたからである。現在でも女性が男性と同じように働こうとすると、乗り越えなければならないいくつもの関門が存在する。

 

 安倍政権は一億総活躍社会を推進しているが、これも少子化による生産労働人口の減少を女性や高齢者の利用で補おうとする意味合いが強く、決して女性の社会的地位を高めようとするものではない。少子化担当大臣を置いてはいるが、保育園をたくさんつくることに主眼が置かれ、男子は育児、教育、介護に参加できない社会制度の中で、女性の負担は増すばかりである。

 

 育児の中で、子供は頻繁に体調を崩し、保育園や幼稚園は体温の高い子供は預かってはくれないし保育中、体調不良の子供は母親に引き取りに来るように電話がある。働く母親は、そのたびに、周囲に気兼ねしながら早退や欠勤を繰り返し、ついには退職せざるを得なくなるのが現状である。本来そのような場合、周囲は協力するべきなのに、あまりにも働く母親に冷淡で、それを当然視するこの社会は異常である。さらに母子家庭になると、周囲はそれ以上に冷淡で、子供の貧困の問題もこのような社会の中で増えているのが現状である。電車や公共の場でも、子連れの母親が周囲に気兼ねしながら小さくなっている状況をよく目撃する。子連れの母親には男性だけではなく、女性もまた味方になってはくれない。

 

 男性も、決してこの問題に無関心なのではなく、忙しい中できるだけ共にこうした問題を乗り越えようとしているのだが、現実問題としてそれだけの時間が与えられていないし社会の偏見も大きく、この国で主体的に男性が育児を行うことは、ほぼ不可能である。介護も同様で、女性は自分の親だけではなく、夫の親の介護まで負担させられては、結婚生活に希望は見いだせないし結婚しない女性が増えるのは当然で、少子化はその結果でもある。

 

 本来、職場には医療関係者が常駐する育児施設を設け、育児しながら働けるようにするべきであり、男女同じように育児を行えるようにしなければいけない。先進国を自認するなら、最低その程度のことは準備するべきなのに、そのことに気が付きもしない

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