2019年10月29日火曜日

イノベーション論


イノベーション論
時代の転換期とイノベーション

シュンペータとイノベーション
経営学にイノベーションの考え方を最初に導入したのはシュンペータである。『経済発展の理論』において、イノベーションは(革新)について論じている。経済発展は連続的でなく、創造的破壊を伴う。
シュンペータのイノベーション論
1 新しい生産方法の導入
 2 新しい市場の開発
3 新しい製品の開発
4 新しい原材料の仕入れ先を見つける
5 独占の形成・あるいは独占の打破
イノベーションを行う者は企業者
経営者であってもイノベーションを行わない者は企業者ではない。企業者による絶え間ないイノベーションにより発展する。
その結果、創造的破壊が行われる。⇒新しい社会の誕生

ドラッカーのイノベーション論(イノベーションの機会に注目)
① 予期せぬ成功と失敗の活用
② ギャップを見つける
③ ニーズを見つける
④ 産業構造の変化を知る
⑤ 人口構造の変化に注目する
⑥ 認識の変化を捉える
⑦ 新たな知識を活用するもの

なぜ日本はイノベーションで成果を出せなかったのか。
なぜ、失われた10 ⇒ 20 ⇒ 25年と言われたのか。アメリカのイノベーションはシリコンバレー型で、実は驚くほど失敗も多い。日本は資本・人材など不足しており、アメリカ型のイノベーションは困難である。
さらに、社会的イノベーションに対する認識が不足していて、システムや権力を破壊したくないというか、古いシステムを守りたいという要求が強く、社会的イノベーションは社会の仕組みを変えるということを理解していない。したがって、日本は社会的イノベーションは起こせないのである。

検証 日本の停滞
1 バブル崩壊・・・・・・・大蔵省、日銀の政策ミス
2 アメリカの日本つぶし・・円高、為替政策
3 グローバル化の要求・・・日本的経営の破壊(小泉内閣)
4 ケインズ政策の失敗・・・多額の公共投資(宮沢内閣)
5 日銀の量的緩和・・・・・格差拡大(安倍内閣)
6 社会の保守化・・・・・・体制を変えたくない
7 権力構造の固定化・・・・権力を離さない
8 東日本大震災・・・・・・新エネルギーへの転換失敗
9 イノベーション不足・・・古い事業に固執
  
始まった日本のイノベーション
人工知能(AI)社会・・・すべての分野で省力化
モビリティー革命・・・新しい移動手段の誕生
キャッシュレス化・・・新しい金融システム
対人関係の民主化・・・ハラスメント規制
企業改革の進展・・・・生き残り対策・新規事業

これから見込まれるイノベーション
教育改革・・・・柔軟な教育システム
人材開発・・・・多様な人材の利用
少子化対策・・・生産性向上
宇宙開発・・・・民間企業による開発
ナノ技術・・・・新炭素素材(宇宙エレベーター)
温暖化対策・・・安全な国造り
遺伝子操作・・・新しい食品開発・超長寿社会

 オープン・イノベーションとは何か
ハーバード大学ヘンリー・チェスブロウによって1980年代から90年代に提唱された、イノベーションの方法で、競争環境の激化、不確実性、研究開発費の高騰、株主が要求する短期的成果等から、大学や他社の技術のライセンスを受け、外部からアイデアを募集するなど、社外との連携を積極活用するイノベーション。
  
海外の人材や発想を受け入れる
日本台湾間ではオープンデータやオープン・イノベーションのプロジェクトが多数立ち上がっている。半導体メーカーのTSMC社は日本企業とイノベーションを起こすために協力関係にある。東南アジアにおいてはシンガポールがスタートアップの一大拠点となっており、連携も増えている。JR東日本はシンガポールにオープン・イノベーションを加速するコワーキングスペース「One&Co」を開設している。

クローズド・イノベーション
 オープン・イノベーションの反対側にあるのがクローズド・イノベーション。大企業内部での技術・製品開発するほうほうで、日本が得意なイノベーション。

異業種との出会いの場
オープン・イノベーションでは異業種間交流が大切。そのための出会いの場所をつくることが重要。異業種交流会では不十分。恒久的施設として出会いの場をつくることが求められている。澁谷スクランブルスクエアは渋谷駅街区で再開発計画が進む大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」を拠点にクリエーティブ人材の育成などを行う取り組みを始めようとしている。SCSQが、東急電鉄や東京大学、慶応義塾大学などによる産学連携で始動する。

東レのオープン・イノベーション
東レでは個別の技術情報を交換するオープン
イノベーションサイト、NANOTECH SNeeedSを設けている。釣り竿のシマノの共同開発

資生堂のオープン・イノベーション
 化粧品の資生堂が市場投入した美容食品と化粧品の新商品「インアンドオン」は、資生堂研究所の研究成果に、外部研究機関、海外メーカーの美容素材を組み合わせて開発したもの。
同社はオープン・イノベーションに力を入れている。

コニカミノルタのオープン・イノベーション
コニカミノルタは、 従来カメラや複合機の製造販売を行ってきた。同社は製造業からオープン・イノベーションを通じたソリューション(問題解決)企業への変革を進めている。
イノベーションを興すための新組織として世界5拠点(東京、シリコンバレー、ロンドン、シンガポール、上海)に設立され、教育機関や研究機関、新興企業、投資家など幅広い分野のパートナーと連携し活動している。

0 件のコメント: