2009年4月21日火曜日

何を間違えたのか

資本主義の変節

 ベルリンの壁が壊され、ソビエトが崩壊し東ヨーロッパも資本主義社会の側に引き寄せられ、中国も私有財産を許し資本主義的な企業が設立されるようになると世界は資本主義の自由経済こそ絶対的なものだと思い込むようになった。そもそもこうした資本主義システムの欠陥は以前から知られていたことで、経済恐慌についても周知のことで何度も経験してきたことである。それにもかかわらず多くの国や投資家たちは、集めた資金をアメリカに投資し、実態のない経済活動で利益を得てきたのである。このような経済活動による金儲けは詐欺と変わらない。彼らは今回の経済不況が始まると同時に、自分の金を持って逃げ出してしまった。ドバイでは、石油で儲けた豊富な資金の投資先として巨大なヨットハーバーや1000mの高層ビルを計画し、さらに世界でもっとも高級ホテルを用意して金持ちの楽園を造ろうとした。しかしこれらは現在のところ、資金不足で建設はストップしている。

資本主義体制が完全なものでないことは、拡がる一方の貧富の差、環境の悪化、社会の不安を見れば十分に理解できることである。人類の歴史でこれほど大規模に爛熟してしまった社会はない。ローマ帝国も繁栄の後に訪れたのは滅亡だった。私たちは私たちが今おかれている社会をしっかり見て、何をしなければならないか、何が問題なのかしっかりと考えるときである。一部の国、一部の地域、一部の人だけが豊かになり、多くの人たちが飢餓に苦しむような社会は良いはずがない。先進国は豊かさの代償に大切な多くのものを失ってしまったことを考えなければいけない。
封建社会が崩壊したように、資本主義社会も滅びないとは限らない。現在地球上の人間で近代文明の恩恵を受けている人々は、全体の2割程度で、8割もの人々が貧しい生活をしている。資本主義はこうしたことも解決できていないのだ。

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