2019年7月1日月曜日

ドラッカーのリーダーシップ論


1 .リーダーたることの要件は、リーダーシップを責任と見ること。

リーダーシップとは、命令することでも、強要するものでも、権限でもない。リーダーはチームの全ての責任を持つこと。それをリーダーシップと見ることが大切。        『プロフェッショナルの条件』P.F.ドラッカー

2.  変化はコントロールできない。できることは、先頭に立つことだけだ。

何が起こるかわからないなかで変化に対峙するときリーダーは先頭に立って状況を読み判断を下すことが求められる。

変化は予測不可能でコントロールできない。リーダーができることは甲板に立ち、望遠鏡から垣間見える変化に、誰よりも先んじて号令をあげることである。           『チェンジ・リーダーの条件』P.F.ドラッカー

3.  人材は、企業規模とは無関係である

優秀な業績を上げている企業は、それほどではない企業に比べて、優秀な人材に恵まれていると思われているが、そうではない。すべてはリーダーに依存することをよく承知し、人材不足を憂うのではなく、リーダーシップに焦点を当てて、強みを伸ばすべきだ。つまり、人材は、企業規模とは無関係である。    『マネジメント』P.F.ドラッカー

4. 優れたリーダーは、とは言わない。意識して言わないのではない。を考えないのである。いつも、われわれを考える。チームを考える。彼らは、自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。責任を引き受け、逃げることをしない。成果はわれわれのものとする。考えることは、なされるべきことと、チームのことだけである。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされる。     (ドラッカー名著集(4)『非営利組織の経営』)

5. ドラッカーは、リーダー用の資質などというものはないと言う。リーダーにはいろいろなタイプがある。しかし、リーダーたるために必要とされる姿勢は、いくつかある。
 第1が、人に聞くことである。聞くことは、スキルではなく姿勢である。
 第2が、自らの考えを理解してもらう意欲である。そのためには何度も言い、身をもって示すことである。
 第3が、言い訳やごまかしをしないことである。何事にも本気であることである。
 第4が、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識である。仕事と自らを一体化しないことである。仕事とは、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在である。

6. 私の知っているほとんどのリーダーが、生まれつきのリーダーでも、育てられたリーダーでもなかった。自らをリーダーとして作り上げた人たちだった。トルーマン大統領は、ルーズベルト大統領の突然の死によって大統領になったとき、今米国のリーダーとしてなすべき最も重要な仕事は何かを考え、急きょ、不得意だった国際問題に取り組み、旧ソ連の封じ込めに成功した。マッカーサー元帥は、自分よりも頭のよい者はいないはずと自負しながらも、部下の言に耳を傾けて最強のチームをつくり上げた。気性には合わなかったが、それがリーダーの役割だということを知っていた。リーダーたるものは、献身しつつも個たりえなければならない。そのとき仕事もうまくいく。自らを仕事の外に置かなければならない。                                  『非営利組織の経営』      

7.リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」    『現代の経営』

8.リーダーシップとは仕事である。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはない。リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップと組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは目標を定め、優先順位を決め基準を定めそれを維持する者である。リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだ。リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。

9.リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし政治、経済、財政、人事など現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきた。外交的な人も内省的な人も多弁な人も寡黙な人もいた。

 「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」   『プロフェッショナルの条件』

10.リーダーは尊敬されるが、必ずしも好かれるとは限らない。リーダーに人気投票は必要ない。有能なリーダーは、「自分は何をしたい」との問いから物事を始めてはならない。そうではなく、「この場でいかなるニ-ズを満たすべきか」「何に対して貢献することが要求されているのか」「どこへ、どういう形で寄与したらよいのか」という問いからスタートせよ。

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